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海外旅行復活は「0からのやり直し」、4つのフェーズで慎重な取り組みを-JATA経営フォーラム

顧客とのコミュニケーションにデジタル活用は当たり前
日常と非日常の接点づくりも重要

 日本旅行業協会(JATA)が3月31日までオンラインで開催している「JATA経営フォーラム2022」。「持続可能な旅行業を考える」をテーマに7つの分科会を設置しているが、このうち分科会Aでは「コロナ禍での海外旅行の顧客維持に必要なことを考える」をテーマに、グローバルユースビューロー、クラブツーリズム、ジェイアール東日本企画の3社の代表が意見交換を実施。「顧客との接点を活かす」「顧客との関係性を深める」「海外旅行の関心を引き付ける」の3つの小テーマを軸に、海外旅行復活に向けたキーワードを探った。

分科会Aの様子
【パネリスト】
グローバルユースビューロー 代表取締役社長 柴崎聡氏
クラブツーリズム 代表取締役社長 酒井博氏
ジェイアール東日本企画 常務取締役・チーフデジタルオフィサー(CDO) 高橋敦司氏
(元びゅうトラベルサービス代表取締役社長)
【モデレーター】
JTB総合研究所 コンサルティング事業部ツーリズム戦略部長 濱中茂氏

コロナで海外旅行への拒否感強まる、パスポート保有率も課題

グローバルユースビューローの柴崎氏

 分科会ではまず、各社がコロナ禍での顧客の動向について説明した。グローバルユースビューローの柴崎氏は、海外旅行と国内旅行の比率について、コロナ前は9対1だったがコロナ後は国内旅行が95%、オンラインのネットショッピングやシニアレジデンスなどの新規事業が5%であることを説明した。

 クラブツーリズムの酒井氏は、コロナ前は海外旅行と国内旅行の比率は6対4だったが、コロナ禍では国内旅行のみを取り扱っている旨を語った上で、国内旅行の分野別の動向を説明した。同氏によれば、日帰り・宿泊を含むバス旅行は2018年比で10数%しか回復していないが、テーマ型旅行、なかでも趣味の要素が強いカルチャー旅行やハイキングなどは8割強、最上級ブランドの「ロイヤル・グランステージ」はほぼ100%回復しているという。酒井氏は「バス旅行が回復していないのは『密を避けよう』という心理がおそらく強いから。テーマ旅行が回復している理由は、参加者にとって旅行が非日常ではなく日常、生活の一部になっているから」との見方を述べた。

 ジェイアール東日本企画で同社の海外旅行部門の立ち上げに携わったという高橋氏は、各社の調査データを提示しながらコロナ禍の旅行マインドについて解説した。同社のプランニングチーム「Move Design Lab」の調査によれば、2021年10月現在の「お出かけ意欲」は緊急事態宣言の終了によりコロナ前と同レベルに戻っていたという。高橋氏は「オミクロン株の拡大を迎えているがマインドはある。しかし、気がかりなのはお出かけする気がある人を取り巻く周りの人々の空気」と主張。「2年間『動くのが悪』と言われ続けてきた影響を考えたほうがいい」と注意喚起した。

 また、同氏は2020年の日本人のパスポート保有率が21.8%まで低下したことに触れ、「海外旅行に反対の声が大きい中、賛同者をいかに市場に引っ張り出し、世の中の賛同を得て(海外に)行ってもらうか」を課題としてあげた。加えてメディアの海外との交流に対するポジティブな露出が少ないことを指摘し、「国を開けるか開けないか2分されている状態から市場を回復させるというモードになるということは大変」と危機感を募らせた。