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【コラム】GoToトラベルの制度設計は?HIS子会社によるGoTo不正疑惑報道に関して

 GoToトラベルについて再開の時期や割引対象期間等々、日々新たな情報が発信・報道され、結局現段階ではどのような制度になりそうなのか、12月10日に行われた観光庁によるJATA・ANTA会員向け「新たなGoToトラベル」に関するオンライン説明会で知り得たことも含め、まとめてみました。(一部筆者の予想や解釈も含まれていますので、実際には都度最新情報を確認願います。)

再開時期
1月下旬~2月上旬
人流の増える年末年始の影響及び、オミクロン株による感染状況を見た上で判断すると国交大臣が発言していることから、実際には最速で2月か。

再開後除外される期間
春休み(3月下旬~4月上旬)、GW(4月下旬~5月上旬)
終了の目処は夏休み前か。

割引率
30%(GW後20%)

割引上限額
交通付き(1泊あたり)1万円(GW後8千円)
宿泊のみ(1泊あたり)7千円(GW後5千円)
日帰り3千円(GW後2千円)

地域共通キャンペーン(1泊あたり)
平日3千円、休日1千円(GW後3千円)
※平日/休日の定義は未発表

利用条件
ワクチン接種証明書又は陰性証明
「新しい旅のエチケット」実施
宿泊施設での検温や本人確認
等々

では、実例に当てはめるとどうなるのか?

①東京発那覇3泊4日(交通付き)
ツアー代金4万円
a.割引率30%上限=1万2千円
b.割引上限額=3万円(1泊あたり1万円上限)
このケースではaの1万2千円割引が適用
消費者が支払うツアー代金は4万円-1万2千円=2万8千円
消費者の受け取る共通クーポンは3千円✕3泊(全日平日の場合)=9千円
消費者のクーポンも勘案した最終支出額1万9千円(52.5%引き)

②東京発那覇3泊4日(交通付き)
ツアー代金10万円
a.割引率30%上限=3万円
b.割引上限額=3万円(1泊あたり1万円上限)
このケースではaとbが同額のため、3万円割引が適用
消費者が支払うツアー代金は10万円-3万=7万円
消費者の受け取る共通クーポンは3千円✕3泊(全日平日の場合)=9千円
消費者のクーポンも勘案した最終支出額6万1千円(39%引き)

③熱海2泊(宿泊のみ)
旅行会社の販売価格2万(1泊1万円)
a. 割引率30%上限=6千円
b. 割引上限額=1万4千円(1泊あたり7千円上限)
このケースではaの6千円割引が適用
消費者が支払う宿泊代金は2万円-6千円=1万4千円
消費者の受け取る共通クーポンは3千円✕2泊(全日平日の場合)=6千円
消費者のクーポンも勘案した最終支出額8千円(60%引き)

④熱海2泊(宿泊のみ)
旅行会社の販売価格10万(1泊5万円)
a. 割引率30%上限=3万円
b. 割引上限額=1万4千円(1泊あたり7千円上限)
このケースではbの1万4千円割引が適用
消費者が支払う宿泊代金は10万円-1万4千円=8万6千円
消費者の受け取る共通クーポンは3千円✕2泊(全日平日の場合)=6千円
消費者のクーポンも勘案した最終支出額8万円(20%引き)

 この結果から見ると、共通クーポンが前回のように「旅行代金の15%」から固定額(平日3千円、休日1千円)になったこと等により、クーポンも勘案した最終的な割引率で見ると、低価格商品ほど割引率が高くなるという事になります。

 その点では前回の高額商品、高級宿泊施設ばかり恩恵を受けた事への対応がなされていますね。ただ、①や②のように50%を超える割引はキャンペーン終了後に旅行者の”旅行費用感覚麻痺”の後遺症として残らないか、懸念せずにはいられません。

 とは言え、青息吐息の旅行業界としては、税金によるこの施策に感謝するとともに、制度をしっかりと研究し、お客様・観光地そして我々旅行業界にも益となるよう活かしていければと思います。

HIS子会社によるGoTo不正疑惑報道に関して

 この原稿を書いているタイミングに、HISの子会社2社(ミキ・ツーリスト、ジャパンホリデートラベル)による実態の無い宿泊でGoTo申請が行われ、不正に受給を受けていた可能性が有るとの報道がなされました。HISも不適切な取引の可能性が有ることを認め、調査委員会を設置したと発表しました。

 各報道に対する一般読者からのコメントも既に多数掲載されており、「氷山の一角」「GoToやめろ」、ワールド航空の雇調金の問題と合わせ「旅行業界、終わっている」、何れも当然ながら厳しく、業界・産業全体に向けられたものが大半です。トラベルビジョンにおける業界内からのコメントとしては「モラルは無いのか?」「悔しい」等のコメントが寄せられています。

 先週のコラムではワールド航空の特別調査委員会の最終報告に触れました。正直、観光産業の不祥事に関して書くのは辟易していますし、これで最後になることを心から願います。

 しかし、この際、膿は出し切り、業界団体の在り方や業法の変えるべきところは変え、悪しき慣習や慣行の一掃を図り、コロナ後は「新・観光産業」としてスタートすべきなのだとも思います。コロナが観光産業にプラスの影響を及ぼすとすれば、その契機となる事だけなのですから。

岡田直樹
㈱エフネス代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人。27歳でエフネスの前身㈱ルゥエストを創業し、31周年にあたる今年に至る。旅行素材のホールセール、観光関連企業への決済サービス提供、緊急対応代行、業界誌トラベルビジョン運営等々、主に観光産業内のB2B事業に携わる。
㈱ティ・エス・ディ代表取締役、一般社団法人インバウンドデジタルマーケティング協議会理事、㈱ミックナイン社外取締役​