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本気で観光振興のサウジアラビア、歴史や大規模開発でコロナ後の需要獲得へ

  • 2021年12月3日

服装の制限は大幅緩和、「歴史+近代性」が魅力に

首都リヤドから90kmにある「世界の果て」と呼ばれる断崖絶壁もソーシャルメディアなどで注目を集めている

 現在の観光客の受け入れ体制としては、女性のアバヤ着用が不要となり、ドバイと同様に「肌の露出はある程度抑える」程度で済むようになっているといい、「Tシャツ短パン」は避けた方が望ましいが、紅海の島々のリゾート地の一部では水着の着用も可能となるなど大きく緩和されている。また、以前は外国の踊りや音楽などのエンターテイメントが禁止されていたのに対し、2019年にはAvexがプロデュースした1万2000発の花火を含むエンターテイメントを披露でき、また日本の漫画やアニメが人気でアニメ制作会社まで立ち上げられ、アニメエキスポまで開催されたという。

 奥田氏によると、サウジアラビア観光の魅力は中東らしい高層ビルが立ち並ぶ近代的都市を擁していながら、王家として長い歴史を持つサウード家の王宮などの歴史的な観光スポットを併せ持ち「シンドバッドの冒険のような昔ながらのアラビアの町並み」も楽しめるところ。さらに、ダカールラリーの開催地として選ばれたり中東で3ヶ国目となるF1レースの開催も決まり、ゴルフクラブも充実して国際級トーナメントが開催される予定であるなどイベントでも注目を集めている。

 また、MSCクルーズとの間で5年間の契約を結び、11月から2月にかけてメディナやヨルダンのアカバ、ペトラなどをめぐるコースを運航。サウジアラビアで初の世界遺産となったヤンブー近郊のマダインサーレなどを訪れる。

 このほか、大型の開発計画も目白押しで、紅海では2030年までに50軒8000室のホテル・リゾートと1300軒の住居、高級マリーナ、ゴルフコース、レジャー施設などを建設する計画。この一環で、来年末には対象エリアに新しい国際空港が開業するほか、4軒のリゾートが営業開始を予定している。さらに2030年以降にはスマートシティ「NEOM」の開発計画も待っている。

「女子旅」獲得に意欲、まずは5万人誘客へ

 プロモーションとしては、これまでの顧客層はハイエンドを含むシニアが中心だったが、多様な素材と切り口があることから柔軟に捉えて需要を喚起していく方針。女性1人でも入国できるようになっていることから女子旅の獲得にも意欲的で、来年早々に予定している旅行会社とメディア向けのFAMツアーではインフルエンサーも招待したいという。女子旅の可能性について岡田氏は、「香水などのお土産も有名で、私自身、友人にも勧めたいと思える。親和性は非常に高い」とポテンシャルの大きさを語った。

 送客目標については、全体の出国者数がどのように推移するか見えないものの、E-ビザ導入前の2018年には出張を含めて2万人強であったため、「段階的にでも5万人までは確実に伸ばしたい」考えだ。