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本気で観光振興のサウジアラビア、歴史や大規模開発でコロナ後の需要獲得へ

  • 2021年12月3日

 「2030年に年間1億人の旅行者」を目標に掲げるサウジアラビアは、日本でも9月1日付けでサウジアラビア政府観光局(STA)の日本支局を開設し、支局長に奥田重彦氏、事業開発マネージャーに岡田有希帆氏が就任した。このほど両氏は本誌取材に応じ、サウジアラビアの観光客受け入れの現状や魅力、今後のプロモーション方針などについて語った。

(右から)奥田氏、岡田氏

 2001年の米国同時多発テロの発生時まで日本に乗り入れていた旧サウジアラビア航空(現サウディア、SV)で副代表を務めるなど長い経験を持つ奥田氏によると、SV就航当初のサウジアラビアは観光客の受け入れに消極的であったが、日本から中東への投資が増えるなかでサウジアラビアにも投資を獲得するため「経済視察団」の立て付けでツアーを開始。当初は男性のみの参加が認められていたが、次第に黒いロングコートのようなアバヤという民族衣装を身に着けるなどの条件付きで夫婦であれば女性も参加が可能となった。

 そして、当初は視察がメインで若干の観光を加える程度だったところからだんだんと観光の要素が増えていき、さらに20歳以上であれば女性のみでの渡航も可能となった。9.11が発生した2001年にはB747とB777を使用して4本のチャーターも実施され、渡航者数は1万人に達したという。

 9.11後は奥田氏も一旦サウジアラビアとの関わりがなくなったが、サウジアラビア側では石油収入に依存することへの危機感から農業や医療、鉱工業とともに観光にも注力していくことを2016年に決定。2017年には現国王が来日し、「日・サウジ・ビジョン2030」(現在は2.0改訂版に)が策定された。

 そして2019年9月には日本でE-ビザ制度を開始。オンラインで1万5000円で取得でき、1度取得すれば1年間有効で経済視察でも利用可能ということで訪問者増に期待がかかったが半年でコロナ禍が発生してしまった。

 一方、そうした中でもサウジアラビア側では2020年6月にサウジアラビア政府観光局の組織ができ、今年9月に世界で30ヶ所を超える支局を同時に開設。アジアでは日本のほか北京、上海、韓国、マレーシアに開設した。なお、これらの支局設置にはディスカバー・ザ・ワールドやアビアレップスなどに実務を委託しており、現在の日本支局でもディスカバーとのサポート関係が続いている。

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