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コロナ禍こそ宿泊施設は直販強化を-tripla代表取締役CEOの高橋和久氏

AIチャットボットと予約エンジンで宿泊施設をサポート
施設から直接顧客へアプローチ、需要の取り込みを

-貴社の宿泊予約エンジンを導入するメリットは何でしょうか
インタビューはオンラインで実施

高橋 弊社の宿泊予約エンジンは宿泊施設の自社サイト向けのもので、自社サイトにいらっしゃるお客様の数を増やすのではなく、予約率を高めるためのものです。「なぜ予約率が高まるのか?」という質問をよくされますが、弊社の場合、ホテル会員に登録済みなら20秒、ゲスト会員なら1分で宿泊予約が完了します。電車に乗っていて1駅移動する間に予約できる、時間の短さが最大のセールスポイントです。

 OTAで宿泊施設の情報を得ようとすると写真が少なかったり、雰囲気が掴みにくかったりする。このためお客様は自社サイトを訪れます。そこでシステムが分かりにくいと自社サイトからOTAに戻って予約してしまいます。弊社の宿泊予約エンジンは、お客様がOTAに戻らず自社サイトで予約するよう、ユーザビリティを引き上げることが可能です。OTA経由での自社サイトへの流入のうち、約5割のお客様がOTAに戻らず自社サイトで予約しているとみており、宿泊施設のコスト削減に貢献できていると考えています。

 例えば、センチュリオンインターナショナル様は19年11月に弊社の予約エンジンを導入した後、売上と会員数を大きく伸ばしました。導入前は自社の予約比率は約2%で、残りの約98%がOTA経由でしたが、導入により自社の予約比率が13%から14%程度まで伸びたそうです。会員数も導入前の5年間で7000人だったところ、導入後1年半で8000人の会員を獲得されたとのことでした。

 また、「由布院別邸 樹」など湯布院で3館の旅館を運営する樹ホテルズジャパン様は、20年3月から予約エンジンを使っていただいています。予約エンジンの導入直後に1度目の緊急事態宣言がありましたが、OTA経由を含む全体の宿泊件数は減ったものの、弊社のエンジン経由の自社予約件数は減少しなかったそうです。むしろ自社予約率は上がっています。

-新型コロナウイルス感染症(コロナ)の影響について教えてください

高橋 AIチャットボットは、インバウンドの減少で日本人の利用のみとなったこともあり、大きな打撃を受けました。昨年4月の緊急事態宣言でお客様からの問い合わせが減少したことも一因です。

 新規契約もあるので、契約施設数は昨年比2割増となりましたが、コロナの影響による施設の倒産・廃業や、コストカットのためにサービスを解約される施設もあり、成長は大きく鈍化しました。コロナがなければ契約施設は今の倍に増えていたでしょうし、インバウンドが回復すればもっと伸びると思います。

 一方、予約エンジンは契約施設数が昨年3月比で7倍に増えました。コロナを契機に、今までOTAで集客できていたため自社サイトに力を入れてこなかった施設が、自社サイトでの売上を伸ばす目的で契約するケースも増えてきました。また、コロナを契機に「業務をなるべく自動化しよう」という踏ん切りがつき、我々のツールを活用して少人数での運営に取り組む宿泊施設が増えてきたように思います。