「観光DX」の課題と可能性、バーチャルツアーやMaaSの未来は?

IDMとトラベルビジョンなどがイベント共催
観光地の「世界観」構築し旅行者ニーズに応えよ

開会の挨拶をするIDM理事長の高岡謙二氏(エクスポート・ジャパン代表取締役社長)

 インバウンド・デジタルマーケティング協議会(IDM)は11月25日、トラベルビジョンとエクスポート・ジャパン、やまとごころの3社と共にオンラインで「2020観光DXサミット」を開催した。

 航空券や宿泊の流通など部分的にはデジタル化が進行しているものの、包括的に見れば断片化されていてデジタルの活用が進んでない観光産業において、特にコロナ禍で大きな打撃を受ける中で我々はどう行動すべきなのか。グローバルOTAから地域DMOまで幅広い立場のパネリストが語る意見や具体的事例に、延べ約2000人の視聴者が聞き入った。

JNTO理事長代理の吉田晶子氏

 冒頭に挨拶した日本政府観光局(JNTO)理事長代理の吉田晶子氏は、コロナによって活動が制限されているとしつつ、オンラインのセミナーやコンサル事業、データの整理と分析など、新しい活動を始められていると説明。デジタルによって「分かることが増えればできることも増える」と語り、DXの進展に期待を示した。

 「DX」の定義については、やまとごころ代表取締役の村山慶輔氏が「データとデジタル技術を活用し、顧客や社会のニーズを基に製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務や組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立する」ことと提示。

 特に「製品やサービス、ビジネスモデルを変革」することを「攻めのDX」、「業務や組織、プロセス、企業文化・風土を変革」することを「守りのDX」と表現して区別するとともに、旅館・ホテル向け情報管理システムの「陣屋コネクト」を例に大企業や都道府県単位でなくても実行可能であると指摘した。

スマートシティランキングの点数 そして、シンガポールの事例を紹介しながら、コロナによってDXの成果が「“持っていると良いもの”から“生き残るために持っていなければならないもの”に」変わってきていると分析。なお、最新のスマートシティランキングでは、シンガポールが1位であるのに対し東京と大阪は79位と80位で、前年からそれぞれ17位ずつ順位を落としているという。