【コロナに負けず】カタール航空太平洋地区副社長のスクルービー氏

COVID-19拡大も攻めの運航、RPK世界1位に
日本は成田線を従来通り継続、帰国者を支援

-多くの航空会社とは異なり積極的な運航を続ける理由と、それに対する反応についてお聞かせください

スクルービー氏(写真提供:QR) スクルービー この厳しい状況では、各社が運休や減便を選択せざるを得ないが、QRはさまざまな国籍のお客様の帰国のために運航を継続してきた。今年の2月以降は200万人以上のお客様に利用していただき、300便以上の臨時チャーター便も運航した。帰国支援の取り組みに対しては、お客様や旅行業界のパートナーの皆様だけでなく、米国国務長官のマイク・ポンぺオ氏などからも好意的な意見をいただいている。

 国際航空運送協会(IATA)によれば、QRの旅客輸送量を表す有償旅客キロ(RPK)は4月には13億旅客キロを超え、世界市場のシェア1位となる17.8%を記録するに至ったが、これは2位の3倍以上の数字だ。このことはコロナ禍においてもQRが、空港検査や入国手順などに関して国際的なリーダーとなり、最高水準の安全・衛生管理の経験を積んだ結果の現れといえる。今月半ばまでには65都市・週430便へと運航を拡大し、今後も路線網の拡大を継続する予定だ。

-成田/ドーハ線の現況と、今後の見通しについて教えてください

スクルービー 入国規制や検疫体制の変化の影響により、現在の利用者は日本に帰国、もしくは理由があって海外に戻る日本人と、本国に帰国する在日外国人などが大半を占め、在日外国人がご家族を日本に呼び戻す流れも生まれている。機材は3月26日から5月末までは計327席のA350-1000型機、6月は計283席のA350-900型機で運航し、7月から9月までは主にビジネスクラス42席・エコノミークラス312席・計354席のB777-300型機を使用する。

 各国の入国規制が一部緩和され始めたので、今後は少しずつではあるが、通常の旅行需要が戻ってくるだろう。貨物便についてはB777F型機による関空/ドーハ線を5月までは週2便運航していたが、6月と7月は週4便に増便している。

-機内の感染予防対策についてお聞かせください。6月にはアテネ線の利用者にCOVID-19の陽性反応が見られ、ギリシャ政府が一時的に乗入制限を実施しましたが

スクルービー QRはお客様と従業員の安全を守るために、さまざまな対策を講じている。チェックインの際には可能な限り他のお客様と距離を取れるよう座席を案内し、機内ではIATAと世界保健機関(WHO)が推奨する製品で徹底的な清掃と消毒を実施している。また、再循環空気中のウイルスや細菌の99.97%を除去する大型HEPAフィルターで、最高水準の衛生環境を提供している。

 新たな対策としてはPPE(個人用防護具)や、大人用および子供用のフェイスシールドなども導入しており、3歳以上のエコノミークラスのお客様については、食事や飲み物の提供時以外にはマスクとフェイスシールドの着用をお願いしている。機内食に関しては、ビジネスクラスにおいてもトレーに載せて提供するなど、感染拡大の防止に努めている。