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エクスペディア・ジャパン社長に聞く海旅戦略、Googleの影響予測も

リアルエージェントと価格・在庫で差別化
Trip.comの空売り「OTAについて誤解されかねない」

海外旅行が7割も、国内旅行にも高い潜在性

 日本語サイトのユーザーのほとんどは日本人で、毎年最低1回旅行に出かける旅慣れた30代から40代が中心。海外旅行の予約が全体の7割以上を占める。国内旅行については、国内航空券を扱っていることから飛行機での移動が多い北海道や沖縄が強く、最近では成田発のLCCを利用する女性ユーザーも増加傾向にあるという。

 「エクスペディアグループ全体としては、訪日市場の拡大もあり、日本を重点市場として見ている」と石井氏。今後は北海道、東京、大阪、福岡、沖縄を重点地域と位置づけ、国内路線の取り扱いを強化するほか、ホテルに加えて旅館の在庫を増やす考え。石井氏は「個人的には、近い将来に海外と国内の比率が半々になるのではないか」と話し、国内旅行の潜在性に期待を示した。

カスタマーサービスの拡充でユーザーの不満解消

 同社では、海外旅行における日本人ユーザーに対するサポートをさらに充実させている。コールセンターでは日本語のネイティブスピーカーを増やし、「しっかりとした日本語で対応できる」体制を構築。加えて、カスタマーサービスへの問い合わせについて、海外におけるホテルのチェックイン時と、帰国の際の搭乗手続き時のトラブルが8割を占めていることを受け、昨年の8月から新たにLINEのチャットでやり取りできるカスタマーサポートをローンチした。「ホテルや空港はWiFi環境が整っていることから、このサービスを始めた」という。

 同サービスではそのままチャットでサポートを受けるか、スタッフがコールバックして電話でサポートを受けるか選ぶことができる。石井氏は、OTAは従来型の旅行会社に比べ、カスタマーサポートの点でユーザーからの不満が多い傾向にあることを説明。ブランドの信用性をさらに高めるため、引き続きコールセンターなどでAIなど最新技術を駆使しながら、ユーザーのバックアップを強化する方針を示した。

 なお、エクスペディア・ジャパンでは旅行会社に宿泊施設を卸す「クマの手」を展開しているが、全体の取り扱いにおけるシェアはまだ低い。石井氏は「我々のトッププライオリティーはレジャーでのBtoC」と話し、今後もBtoC向けのサービスが主戦場になることを説明した。