日本のBTMは「認知度低い」、課題はシステム活用-セーバー調査

BTMで業務渡航を効率化
旅行会社が価値を示す機会に

出張中の旅程管理アプリ、半数以上は利用経験なし

 出張者の出張中の旅程管理方法を聞いた複数回答の質問では、「旅行会社からもらう旅程表を持参」が61.5%と半数以上を占めた。欧米では浸透しているという、スマートフォンアプリを利用している出張者は15.0%にとどまった。

 旅程管理用のアプリケーションの利用経験については、53.5%が「ない」と回答。岩壷氏は「日本では旅程管理アプリがまだまだ浸透しておらず、努力する余地がある」と語った。2位はエクスペディアのアプリで21.5%。3位は「自分が利用するエアライン・ホテルの専用アプリ」で16.0%だった。なお、15年に業務渡航関連の国際組織「グローバル・ビジネス・トラベル・アソシエーション(GBTA)」が実施した調査によれば、過去1年に4回以上出張している人の4割以上は「フライトチェックインにアプリを利用している」と回答したという。

 旅行関連のアプリケーションに求める機能を複数回答で聞いた質問では、「フライトチェックイン/ステータスの確認」を選んだ出張者が55.5%と最も多かった。次いで「航空機のシートマップ表示」が35.5%、「ホテルマップ」が33.5%、「航空予約」が32.0%で続き、上位の多くを航空関連の要望が占めた。岩壷氏は「ほとんどの機能をアプリが網羅しているが、そもそもアプリの認知度が低い」と説明。「旅行会社が出張者に役立つツールとして、案内するような環境を作りたい」と話した。


経費精算時間の短縮が重要
出張者の所在地確認は賛否が半々

 出張後の経費精算の方法については「自分で社内のシステム上で清算する」が75.0%と最も多く、精算についてはシステム化が進んでいることが分かった。経費の支払い方法について複数回答で聞いた質問では、「自分のクレジットカードで建て替える」が59.5%と最も多く、「コーポレートカード(法人カード)を使用する」は38.5%にとどまった。

 精算で煩わしいと感じることを複数回答で聞いた質問では、「レシートの管理が煩雑」が59.0%で1位となった。以下は「作業に時間がかかる」が48.0%、「立て替えていないものもあわせて精算項目に入れないといけない」で15.5%となった。こうした結果を踏まえ、岩壷氏は「7割弱の経費は出張者が立て替えており、経費精算が長引けば出張者への負担になる」と指摘した。

 このほか、海外出張時の危機管理の観点から、モバイル端末のGPS機能で会社が出張者の所在地を確認することについては「賛成」が51.0%、「反対」が47.0%となった。「その他」は2.0%で、「非常時のみ可」「勤務時間を含め、任意で指定できるなら」など、柔軟な対応を求める声が挙がったという。中里氏は、相次ぐテロ事件で企業による社員の管理が重要になっていることを説明する一方で、プライバシーを重視する出張者がいることも指摘し、「バランスを取ることが重要」と語った。

 なお、海外出張とプライベートの旅行を組み合わせる「ブレジャー」については、「組み合わせたことがある」は24.0%にとどまった。「海外出張規定の範囲内で検討してみたい」は25.5%。一方で「組み合わせたことはなく、今後も利用しない」と答えた人は50.5%で半数以上を占めた。