富裕層取込の鍵は「パーソナライズ」されたサービスに-ILTM Japan

  • 2016年4月12日

「人間味あるサービス」やモバイル化の推進を
訪日欧米豪人の消費にも注目

消費増に向けへ欧米豪人の取り込みを
「新しい中間層」やシニア層に注目

森トラストの伊達氏  オープニングフォーラムで登壇した森トラストの伊達氏は、15年の訪日外国人旅行者の消費動向について説明。全体の約80%を占めるアジアからの旅行者の消費額のうち宿泊が占める割合は22.4%で、世界平均の約4割を下回る点を指摘した上で、「日本ではまだまだ魅力的な宿泊施設を作りきれていない」との見方を示した。

 そのほか、1人あたり消費額の上位4ヶ国であるオーストラリア、ドイツ、カナダ、英国が、旅行者数のシェアにおいては全体の6.3%にとどまることを説明した上で、「旅行消費額の多い人々が日本に来るような取り組みを、ホテルとしておこなっていくべきでは」と提案。欧米からの旅行者は文化や歴史への興味が強いことから、日本の文化や歴史を体験できる素材を作る取り組みを通じて「欧米からの旅行者の満足度を高めていくことが、ラグジュアリー層の増加につながるのでは」と語った。

 伊達氏は文化と歴史に強いデスティネーションとして京都を挙げ、同社が15年春に「翠嵐 ラグジュアリーコレクションホテル京都」を開業したことを紹介。同ホテルは日本庭園を有する日本風のホテルだが「海外からの宿泊者にストレスを与えないよう、西洋的なものも残した」と説明し、例えば会席料理のメニューに欧米風の料理も加えるなど「日本的な宿泊施設でも、外国人にとってストレスのないグローバルスタンダードを作ることが、この国に来て安心してもらうことにつながるのでは」と語った。

ウィズダムツリー・ジャパンのコール氏  ウィズダムツリー・ジャパンCEOのイェルパー・コール氏は、日本で少子高齢化が進み、20代や30代の若い働き手が減少して労働力確保が厳しさを増すなか、企業が非正規雇用者の正社員化を進め始めたことが「新たな中間層を産み、増加につながっている」と主張。「新たな中間層でレジャーを楽しむ人が増加している」ことに旅行業界も注目していくべきとし、あわせて「非常にリッチで、余暇に時間を費やすことができる」シニア層についても注力すべきと述べた。