トップインタビュー:Booking.com日本地区統括の勝瀬博則氏

  • 2015年8月27日

海外旅行の取込強化
顧客に正確な情報を提供、多様な選択肢アピール

-競合他社と比べた貴社の強みは何ですか

表参道事務所のコールセンター 勝瀬 契約宿泊施設数が多いことが強みの1つ。宿泊施設専業の予約サイトとして、宿泊施設についてはどこよりも大きなコレクションを持っており、お客様の選べる範囲が非常に幅広い。

 次に、「お勧めするホテル」のような広告の掲載やポイント制度などは実施していないのも特徴の1つ。そういうものはノイズだと思っているし、お客様の目を曇らせることになる。その代わり、非常に透明性があり、宿泊施設の正確な情報をかたより無く伝え、お客様自身に選んでもらうことにこだわっている。そのために、口コミも沢山収集しており、現在5000万件以上提供している。

 宿泊施設の説明文などのコンテンツは我々が第3者として自ら書いている。翻訳もほとんど社内でおこなっており、社内では「世界で1番の大きな翻訳会社はBooking.comではないか」と言っているほど。この部分には設備投資を手厚くしている。そういう意味で、我々のウェブサイトはWikipediaに近いとも言える。Wikipediaでは、どんな言葉でも大体意味がわかる。世界で1番大きな辞書であり、Googleでも上位に来るし、ブランドとしても有名だ。

 我々の使命は、宿泊施設の本来の価値を透明化して、分かりやすくシンプルにお客様にお伝えすることだと思っている。数多くの宿泊施設と契約し、価格競争力のある宿泊代金を提供する。我々のイメージはAmazonに近いかもしれない。大量な在庫があり、いつも販売しているが、必ずしもプライスリーダーではない。しかし、商品に破損があった場合などの返品・交換といったカスタマーサービスがしっかりしているため、安心して利用できる。

-カスタマーサービスの強化にも取り組まれていますね

勝瀬 我々が提供できるのは、世界最大級の送客実績というブランドの信用と、42ヶ国語に対応しており、24時間現地の言葉またはお客様の話す言葉で、トラブルに対応するというカスタマーサービス。そうした安心の提供がとても重要だと考えている。日本語カスタマーサービスも24時間年中無休で提供しており、コールセンターのスタッフ数も現在は日本国内で約100名だが、16年までに最大200名まで増やす計画だ。

 弊社はインターネット上で展開するOTAなので、顔が見えない。トラブルの際、本当に大丈夫かはお客様からすると心配な部分だろう。インターネットの発達で消費者が自分で情報をどんどん収集できるようになり、パッケージツアーで行けないところに行きたい、自分で旅行をアレンジしたいというニーズが高まるなか、旅行のスタイルがFIT化しつつある。そうしたなか、パッケージツアーのように安心してもらいながら、自分で旅行がデザインできるサービスが提供できれば、我々のようなOTAが選択肢の1つとして挙がってくるのではないか。

 また、我々は事前決済ではなく、お客様が現地で直接ホテルに宿泊料金を支払うエージェントモデルを採用している。現地決済なので、お客様目線で言えば、最後の最後までホテルを決める必要がない。ホテルを訪問して想定と違った場合は、ホテル側と交渉できるし、最悪の場合キャンセルも可能だ。お客様はしっかり守られている。