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カナダ各州、日本市場の底上げに工夫、通年化など課題も-RVCレポート(1)

  • 2013年6月25日

夏の需要取り込みへ アクティビティをアピール

ケベック、日本人FIT増加-夏の誘客に注力

ケベック側ガティノーからオタワの国会議事堂を望む。アレクサンドラ橋を渡ればケベック州 ケベック州への日本人渡航者数も好調に推移している。ケベック州観光局マーケット・アドバイザーのロック・パケット氏は「他の主要マーケットが減少している一方、日本市場は過去2年で7%から9%の増加率」と説明。しかし、9月と10月の紅葉に集中することから、今後は6月から10月中旬にかけての夏の需要喚起をさらに強化していきたいとした。夏はさまざまなアウトドアアクティビティーが楽しめるほか、モントリオール・ジャズ・フェスティバルなど多彩なフェスティバルも開催される。パケット氏は「全フェスティバルの約60%が無料」であるとアピール。すでに大手旅行会社では商品化の動きも出ているという。

 また、ケベック州の旅行者をみると、メープル街道の主力はシニアのグループだが、モントリオールではFITが増加している。パケット氏は「今後は若い世代の日本人旅行者の誘致に力を入れていきたい」と意欲を示した。モントリオール観光局メディア・レジャー・マーケット担当マネージャーのジェレミン・ガバーグ氏も「かつてはシニアのグループ中心だったが、最近は若い世代のFITが増えている」とし、特に夏期にその傾向が強いと語った。

 今後の取り組みとしては、FIT誘致に力を入れる一方、ハイエンド向けに、平均9日から14日の旅程でモントリオール/ボストン・ニューヨークのクルーズを提案。「ニューヨーク、ボストンとも日本からの直行便が飛んでいるので、日本市場にも訴求力は高いだろう」と期待を示した。


ブリティッシュ・コロンビア、夏のハイキング需要に期待

BC州観光局日本地区マネージャーの菊地友子氏 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州も、夏の需要に期待をかける。BC州では今年で3年目となる「Go Goバンクーバー」を引き続き展開し、女性向けのハイキング・アウトドアをアピール。今年は7月1日までプレゼントキャンペーンを実施するほか、トラベルコちゃんやエクスペディアでも特集サイトを組み、キャンペーンの告知とハイキング需要の取り込みに力を入れている。BC州観光局日本地区マネージャーの菊地友子氏は「ウィスラーでは2012年の日本人ルームナイトが3倍に増えた」とプロモーションの効果は着実に現れていると喜びを語った。今後は滞在型リゾートとしてウィスラーのプロモーションをさらに強めていきたい考えだ。

 また、菊池氏によると、BC関連の検索で上位にくるキーワードはオカナガン、ソルトスプリング島、バンクーバー/シアトルだ。オカナガンはワインカントリーとして知名度が上がっており、ロッキーコースで1泊するツアーも増えてきた。また、ソルトスプリング島はアートやオーガニックライフが楽しめる場所として口コミで広がり、バンクーバーから日帰りもできることから、FITの人気が高まっているという。

 今年6月1日からは全日空(NH)の成田/シアトル便が再開し、6月3日からデルタ航空(DL)が羽田/シアトル線の運航を開始する。菊地氏は「バンクーバーだけでなく、シアトルからオカナガン、ウィスラー、ロッキーへのツアーも増えるのではないか」と期待を示した。インフラとアクセスのよさを利点として、教育旅行やインセンティブにも注力していく考えだ。