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訪日旅行が「回復」、13年外客数1000万人へ-12年は史上2番目

  • 2013年1月27日

 日本政府観光局(JNTO)によると、2012年の訪日外客数が前年比34.6%増の836万8100人となった。過去最高であった2010年の861万1200人と比較すると2.8%減ではあるものの、史上2番目の数値。観光庁長官の井手憲文氏は1月25日の定例会見で、「目標としていた900万人には届かなかったが、(震災による落ち込みから)回復したといって良い」とコメント。2013年は「回復から飛躍へ」の年と位置付け、1000万人を目標とすることを明らかにした。

 2013年は、最大の市場である韓国の本格回復をめざすほか、中国では「ただちに団体が戻ってくるとは思われない」ことから、個人需要やインセンティブを含むビジネス需要の取り込みを進める。また、従来の沿岸部でのプロモーションに加え、内陸部についても着手する。

 2012年に成長が著しかった東南アジアについては、2013年が日・ASEAN友好協力40周年であることも活用してさらに大幅な伸びをめざす。具体的にはインドネシアにJNTO事務所を開設するほか、ASEAN市場のみを対象とした予算も要求。また、1月21日にラオスで開催された「第12回ASEAN+3観光大臣会合」の機会では、ASEAN10ヶ国それぞれと意見交換の場を持ったという。

 一方、欧米は「成熟しつくした」との認識だが、伸びが期待できる市場のみに安易に集中するのではなく、成熟市場での需要拡大に取り組むことで「仕事の質を上げる」考え。具体的な施策は検討中だが「色々な工夫」をしていくという。

 このほか、在外公館や日系企業との連携強化や、“訪日ブランド”の確立と発信の強化にも取り組んでいく。


▽12年の市場別概況、アジア7ヶ国が過去最高更新

 2012年の訪日外客数836万8100人を市場別で見ると、最も多かったのは韓国で204万4330人、次いで台湾が146万6700人、中国が143万人、香港が48万1800人と続いた。これら上位4ヶ国・地域で全体の約65%を占める構造は2010年と変化していないものの順位は入れ替わっており、台湾の2位は2009年以来だ。

 2010年比の伸び率ではベトナムが31.9%増と最も高く、インドネシアの26.0%増、香港の21.4%増、台湾の15.6%増、マレーシアの13.8%増などが2ケタ増となった。中国と台湾、タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナム、インドのアジア7ヶ国・地域からの訪日外客数は過去最高を更新している。

 なお、シンガポールが21.4%減、韓国が16.2%減、フランスが13.5%減、ドイツが12.4%減、カナダが11.5%減など、依然として大きな減少が続く市場もある。