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約款見直し検討会第2回、取消料改正には理解も慎重姿勢

  • 2011年9月20日

 観光庁は9月20日、標準旅行業約款の見直しに関する検討会第2回を開催した。今回は、日本旅行業協会(JATA)が取消料改正に向けて、その裏付けとなる実際の数値やデータを算出した実態調査資料を事例紹介を交えて提示。この結果、検討会での理解は得られた一方、実際に見直すにはさらなる検証が必要であるとの見解が示された。

 次回に向けては、今回JATAが提示したデータや事例などは現状の課題や問題点などを示すものだったため、見直しに向けて過去から現在までの経緯についてさらに掘り下げるとともに、今後の運賃形態や内容がどのように変化するかといった見通しをたて、その上で旅行業者にとってどのようなリスクや影響をもたらす可能性があるかといったこともあわせて分析し、議論を進める。

 JATAが提出した資料では、航空会社による機材小型化などの影響で直販を強化する傾向が強まっておりPEX席が増加していると指摘。海外募集型企画旅行においてもPEX運賃を利用する割合が増えてきており、予約後3日から7日以内に発券する必要がある上に、発券後の取消料が1万円から3万円程度かかるなどIT運賃に比べて発券期限が厳しく取消料も高いことを説明。また、PEX運賃は発券をしないと座席確保自体が難しくなるリスクがあるうえ、取消可能な時期であっても航空会社への取消料が必要となるといった旅行業者へのリスクについても言及している。

 具体的なデータとしては、旅行申込み者数と取消状況から、旅行業者がどれだけの取消料を負担しているかを試算。主要旅行業者5社の旅行申込み者数約626万人のうち、旅行開始41日前時点で旅行を取り消した人が約304万人で、このうち25%がPEX運賃利用だったとすると、約76万人に少なくとも1人あたり1万円(日本航空の韓国線の場合)の取消料が発生しており、旅行者には取消料がかからない期間であるため旅行業者は約76億円を支払っているとした。こうした現状に対して検討会では理解を得られたといい、ある出席者からは見直し案として提示している90日前からの取消料の設定を「さらに前倒してもいいのでは」との意見も挙がったという。

 またJATAでは、海外募集型企画旅行の契約成立後の取り消しによる各種手配業務や取り消しにかかる事務負担が、旅行開始日の31日前の取消分を回収できていないと説明。“とりあえず申し込む”消費者によって一部受付窓口が混雑することもあり、こうした負担も販売管理費となると指摘した。

 このほか、フライ&クルーズを例にクルーズの取消料の実態についても提示。現在、フライ&クルーズでクルーズ日程が50%以上のツアーは84.2%で、80%以上が47.9%となっており、現行は、クルーズ日程が全日程の50%以上の場合はクルーズの取消料率の2分の1という個別認可約款があり、クルーズ日程が拡大している中で負担が増えていることも紹介した。

※追記、訂正案内(2011年9月21日 14時04分)
・第4段落2文目
誤:旅行申込み者数約626万人

正:主要旅行業者5社の旅行申込み者数約626万人

誤:1人あたり1万円の取消料

正:1人あたり1万円(日本航空の韓国線の場合)の取消料

・最終段落2文目
誤:クルーズ日程が50%以上の人は84.2%で

正:クルーズ日程が50%以上のツアーは84.2%で