アクセスランキング、1位「日本路線、問題なし」−難局を乗り越えるために

 今週からアクセスランキングの掲載を再開します。今週の第1位は、国際民間航空機関(ICAO)など5つの国連機関が、日本発着の国際線は通常通り運航可能だと発表したニュースでした。特に欧州系の航空会社を中心に、成田発便の中部や関空発着への振替や、仁川や香港経由への変更がなされるなかで、国連機関からこうした声明が出ることは非常にありがたいものです。

 航空需要の落ち込みは避けようがなく、運休、減便などの対応は尾を引くと思われますが、放射能を懸念した路線変更については、なるべく早く正常化してほしいものです。もちろん航空会社にも事情があるわけですが、すでにいくつかの会社が通常運航の全面的、あるいは部分的な再開を発表しており(AYAZTK)、来週はこうした動きがさらに活発になることを期待しています。

 ランキング4位には訪日需要への影響を調べた記事が入りました。今や、海外、国内、訪日のすべてが打撃を受けておりますが、日本政府観光局(JNTO)の情報として、ほとんどの訪日旅行がキャンセルされているといいます。

 これまで、四川の地震、タイやミャンマーなどの政情不安などが起きた際に、現地の方々が「観光で訪れることこそ復興支援」と話されるのを聞き、真剣にそう考えて記事にしてきたつもりでしたが、逆の立場になって初めて、その当時の方々のお気持ちを察することができました。これほど切実に「日本に来てほしい」、「日本を忘れないでほしい」と思ったことは、かつてありませんでした。そして、多くの方に日本を訪れていただくためにも、アウトバウンドを落ち込ませてはいけないと強く感じています。

 考えてみますと、旅行業界は21世紀に入って9.11やイラク戦争、SARS、鳥インフルエンザ、リーマンショックなどに見舞われ、幾度となく需要が落ち込みました。同時に、ゼロコミッションやアジア圏の他国からの出国者数急増、オンライン流通の拡大など経営環境も激変しています。こうして並べてみると信じられないほどの逆風のオンパレードですが、今回はさらに地震、津波、原発事故が同時に、国内で発生するという未曽有の危機です。

 状況が好転し始めるタイミングは、おそらく原発次第でしょう。それがいつかはわかりませんが、本格的に経営環境が改善するのはさらに多くの時間が必要なはずです。この状況で、いかにお客様に旅の魅力や意義を訴え、旅に出ていただくか。非常に困難ではありますが、それこそが本質的な旅行会社の役割ではないでしょうか。旅行会社の力を発揮するという意味では、今回の震災は旅行業界の試金石となるかもしれません。

 特に、被災していない地域の旅行会社には大きな期待がかかります。東京も停電などの影響を依然として受けているとはいえ、被災地と比較すれば不便というのもはばかられる程度です。まずは影響の少ない地域の旅行会社が粛々と営業を続け、少しずつでも旅行に行っていただくことが第一歩です。旅行業界がこの難局を乗り越えるために、トラベルビジョンでも持てる力を総動員していきます。皆さん、頑張りましょう!(松本)


▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2011年3月第4週:3月18日2時〜3月25日18時)
第1位
日本への渡航制限は不必要、ICAOやWHOが発表−国際線への影響回避に期待(11/03/21)

第2位
エールフランス、成田発着便を仁川経由、KLMは成田発を関空経由に(11/03/18)

第3位
BA羽田線、チェックインも成田空港に−羽田からのバスも継続運行(11/03/18)
ブリティッシュ・エアウェイズ、日本発着便を仁川経由に、給油と乗務員交代(11/03/22)

第4位
訪日旅行、地震や原発の影響で取消し、延期続く−観光庁、VJC事業自粛も(11/03/25)

第5位
JATA、約款改正要望書を観光庁に提出−企画旅行の取消料収受90日前から(11/03/24)

第6位
エクスペディア・ジャパン、東京オフィスを一時クローズ−地震の影響で(11/03/23)

第7位
アシアナ航空、福島、茨城、旭川線を期間欠航、羽田線も4月に減便(11/03/18)

第8位
デルタ航空、成田、関空、中部発着フライトを通常通りに運航、羽田線は運休(11/03/23)

第9位
震災影響の観光業向けに支援策取りまとめ−観光庁、融資や資金繰り支援など(11/03/24)

第10位
HIS、旅行を通じて気持ちを運ぶ−海外出国時に購入の飲料水で支援呼びかけ(11/03/23)