DS模擬問題:ベルギー編 ブリュッセルでアールヌーヴォー巡り

  • 2010年1月18日
問 アールヌーヴォー建築の巨匠として知られる建築家ヴィクトル・オルタ。彼が手掛けた建築物のうち、ブリュッセルで見られる世界遺産はいくつあるか

A 1つ
B 2つ
C 3つ
D 4つ


−−正解は下記へ


ココに注目!


▽観光の中心ブリュッセルのもうひとつの楽しみ方

 欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)の本部を擁し、ヨーロッパの政治経済の中心地として知られるベルギーの首都ブリュッセル。もちろんベルギー観光の拠点としても人気が高い。ヴィクトル・ユーゴーに「世界で最も美しい広場」と言わしめた広場「グラン・プラス」を中心に洒落たレストランや店が並び、世界的に有名な小便小僧の像や市庁舎をはじめとする歴史的建造物など見どころも豊富。にぎやかなマーケットも開かれ、そぞろ歩きだけでも楽しい街だ。そんなブリュッセルのもうひとつの楽しみとして紹介したいのが、アールヌーヴォー建築巡りである。

 「新しい芸術」を意味する「アールヌーヴォー」は、植物などのモチーフと自由曲線を組み合わせた装飾を特徴とする美術様式のこと。鉄やガラスといった新素材を利用するなど、従来の様式にとらわれない斬新な手法は、当時、一大芸術運動となって人々の注目を集めた。ブリュッセルには、ベルギーが生んだアールヌーヴォーの巨匠、ヴィクトル・オルタをはじめ、ポール・アンカール、ポール・コーシーといった建築家が19世紀から20世紀初頭に手掛けたアールヌーヴォー様式の建物が、現在も美術館、博物館、一般邸宅などとして残っているのだ。


▽オルタの手掛けた世界遺産 

 なかでも必見はヴィクトル・オルタの作品群である。オルタ作品の多くは、アールヌーヴォー人気の衰退とともに取り壊されたが、オルタの助手の尽力でいくつかの作品が残され、このうち4軒は、「建築家ヴィクトル・オルタの主な都市邸宅群」として2000年末に世界遺産に登録されている。

 オルタの初期の建築作品で、建築物にアールヌーヴォーを融合させた世界最初の例といわれるのが、1893年に建てられた「タッセル邸」。石造りのファサードの奥に壮麗で緻密な装飾と自然光に彩られた明るい室内が広がっているが、私邸であるため、通常内部の見学はできない。現在、美術館として公開されているのが「オルタ邸」である。アトリエと住居を兼ねたオルタ自身の家で、植物や生き物を曲線で表した装飾は、オルタの代表作にふさわしい見事なもの。時間をかけてじっくり見学したい。「ソルヴェイ邸」は、オルタの理解者であった依頼主のソルヴェイ氏が金額度外視の上に何の注文もつけなかったことから、オルタがその創造力を遺憾なく発揮したといわれる建物。予約すれば見学が可能だ。もう1つが、コンゴ領事務総長の邸宅だった「ヴァン・エトヴェルド邸」で、アールヌーヴォー建築を巡る現地発着の観光ツアー(参考URL)で見学できる。

 ブリュッセルには、世界遺産に認定された上記の4軒以外にもいくつかのオルタ作品が残っている。現在ベルギー漫画博物館となっている旧ウォーケーズ百貨店もその1つだ。約3万冊の漫画を所蔵、世界最大の漫画図書館を擁するこの漫画博物館は、4500点以上の原画やベルギーの人気キャラクター「タンタン」の展示など見応えたっぷりだが、建物そのものも必見である。

 さらに市内には、オルタ作品のほかに「オールドイングランド」と呼ばれる王立楽器博物館や、技師エドゥアール・アノンの家など、アールヌーヴォー様式の建築物がまだまだある。ジュール・ブリュンフォーの手によるアノンの家は、現在は複製写真館として公開されており、内部のボードゥアンの壁画やステンドグラスも見事。街にはアールヌーヴォー様式のカフェも多く、雰囲気を味わうのには最適だ。

 ストックレー邸、ダヴィッド&アリス・ヴァン・ビューレン美術館、国立コーケルベルグ教会など、アールヌーヴォーの後に一世を風靡したアールデコの作品も合わせれば、芸術愛好家にはとくに奥深いツアーとなるだろう。
 

▽ブリュッセルを拠点にアールヌーヴォー三昧

 もう少し範囲を広げてアールヌーヴォーを鑑賞したいという旅行者には、ブリュッセルから日帰りでアントワープやトゥルネーを訪れるのもおすすめだ。

 3日かけてゆったりとアールヌーヴォーを楽しむのであれば、たとえば1日目はブリュッセルで王立楽器博物館、オルタ邸、ベルギー漫画博物館などを見学し、2日目は、電車で1時間ほどのアントワープに移動して、アールヌーヴォー様式の住宅が建ち並ぶコーグレス・オシレイ地区を見学。3日目には同じく電車でトゥルネーに向かい、オルタ設計のトゥルネー美術館を観るといった日程が組める。アントワープ、トゥルネーはいずれも、ブリュッセルから電車で約1時間。ベルギーは鉄道網が発達している上に国土もそれほど広くないため、ブリュッセルを拠点にすれば効率的な国内周遊が可能だ。


ベルギー観光局ワロン・ブリュッセル:http://www.belgium-travel.jp/





正解: D