日本航空、中間期は赤字1312億円、事業再生ADR申請−旅行部門は黒字確保

  • 2009年11月16日
 日本航空(JL)の2010年3月期第2四半期(2009年4月1日〜9月30日)連結業績で、純損益が前年の366億7400万円の黒字から1312億1700万円の赤字と大幅に悪化した。運休や減便などの路線の見直し、コスト削減などに努めたが内外経済の継続的な低迷による収入減をとめられなかったという。営業収益は前年比28.8%減の7639億5300万円(前年:1兆735億9700万円)で、営業損益は957億9300万円の赤字(同:302億2900万円の黒字)、経常損益は1144億4900万円の赤字(同:180億2300万円の黒字)となった。また、JLでは11月13日付けで事業再生ADR手続きを申請。すでに企業再生支援機構に再生支援を依頼しているが、支援決定までに時間を有するためその間の取引金融機関からの債権回収を一時的に停止するねらいがあるようだ。今後は事業再生ADR手続きを進めながら企業再生支援機構との協議を継続していく。

 航空運送事業は、売上高が6669億5900万円、営業損失が972億6400万円。全体の営業損失が957億9300万円であることから、航空運送事業での赤字が大きく影響していることがわかる。国際線旅客収入は42.8%減の2254億3500万円と前年に比べて約半減。世界的な景気不況や企業の出張抑制の継続で業務渡航を始めとする需要の落ち込みや、燃油サーチャージの大幅な値下げなどにより、単価が35.5%低下したことが大きく影響したとの分析だ。国際線旅客数は、有償旅客数が10.0%減の547万825人であった。

 ただし、需要を表す有償旅客キロ(RPK)は11.3%減となったものの、座席供給量を表す有効座席キロ(ASK)を11.9%減と絞った結果、有効座席利用率は0.4ポイント増の67.8%となった(関連記事)。また、営業費用のうち、販売手数料については国際線のコミッションを廃止したことで44.3%減の297億円となっている。

 旅行事業は黒字を確保。営業収益は24.4%減の1362億1000万円、営業利益は66.2%減の3億1400万円となった。このうちジャルパックは、営業収益が38.8%減の468億円となったものの、営業損益は2億円の赤字(3億円の赤字)と改善。ジャルツアーズは営業収益が8.8減の632億円、営業損益は3億円の黒字(5億円の黒字)であった。

 なお、事業再生計画を策定している段階で予想が困難との理由から、すでに発表していた通期連結業績予想については撤回している。


▽「国際線シェア下げる」−西松社長、経営陣の若返りも示唆

 11月13日の決算会見に出席したJL代表取締役社長の西松遙氏は、「現在は国内線、国際線がだいたい半々のシェア。少しずつ国際線のシェアを落としていく」方針を示した。ただし、すでに発表している路線再編以外の見直しについては再建計画策定前に実施する見通しはないという。また、経営陣の若返りについての記者からの質問に対しては、「(現在の経営状況について)責任を痛感している。再生計画をまとめあげなければいけない」と責務を果たす意向を示した。一方で、「道筋が見えてくればそれなりの対応をしていきたい」と自身の進退を含めて見直す可能性を示した。