アクセスランキング、1位は国内コミッション−航空会社の「共存」努力期待

  • 2009年11月7日
[総評] 今週の1位は、全日空(NH)の国内線コミッション見直しの記事でした。NHの岡田晃企画室長は、廃止なのか削減なのかは旅行会社との協議次第とする一方、できるだけ切り詰めたい意図が伺えました。今のところ本格的な交渉は始まっていないようで、旅行会社の反応もやや「静か」な印象ですが、日本旅行業協会(JATA)事務局長の奥山隆哉氏は見直しを求める文書を提出する方向で調整する考えで、全国旅行業協会(ANTA)も直接交渉を検討するなど、反発も出始めています。

 コミッションについては、存続、廃止のどちらが正解かを判断するのは困難です。例えば、「ゼロコミッションはグローバルスタンダードだから」との論調を聞きますが、グローバルスタンダードだからといって全ての市場に必ず適用しなければならない理由はありません。たまたま一つのルールが集団の一部から始まって全体的な潮流になったとしても、全体的な潮流に「なったこと」自体を理由にそのルールへの順応を求めるのは合理的ではないでしょう。そのルールに従うことで得られるメリット、あるいは従わないと生じるデメリットが主張されるべきです。

 その意味では、旅行会社にとって高付加価値な商品・サービスを提供することで対価を得るビジネスモデルの確立は不可欠でしょうから、「ゼロコミッションによって消費者に手数料(フィー)徴収を説明しやすくなり、フィービジネスに移行できる」という主張は理にかなっています。しかし、これまでの議論では、コスト削減など航空会社の論理ばかりが先行し、旅行会社へのメリット付けの姿勢が欠けているように感じられます。この傾向は、国際航空運送協会(IATA)の債務保証や燃油サーチャージの問題でも同様といえるでしょう。

 先ごろ、エア・カナダ(AC)がカナダ国内の旅行会社に対して、一部運賃に限ってコミッションを復活(関連記事)したのも、旅行会社の役割を再評価したものといいます。今はたまたまゼロコミッションがグローバルスタンダードであったとしても、長期的には新しいスタンダードが生まれている可能性もあるわけです。

 航空会社の経営環境の厳しさは日々のニュースから痛いほど伝わってきますが、旅行会社が少なくとも現時点では多くの座席を販売しており、その旅行会社が苦しいのも事実です。「旅行会社との関係を重視する」―多くの航空会社関係者が口にするこの言葉が、旅行会社と航空会社と消費者、また業界全体の本当の共存共栄に向けた明確な配慮として現れることが望まれます。(松本)


▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング(11月第1週:11月2日11時〜11月6日18時)
第1位
全日空、国内線コミッション廃止/削減へ−旅行会社と交渉開始、11年度まで(2009/11/2)
全日空、グループ航空会社を3社に再編へ−新戦略、1000億円収支改善めざす(2009/11/2)
JATA、国内コミッション維持求め書面提出へ−奥山氏、NHは「積極性取り戻せ」(2009/11/4)

第2位
成田冬スケジュール、国際線旅客便は大幅減も国内線は過去最大に(2009/11/2)

第3位
日本航空、内際18路線を運休・減便、5地点撤退−国際線座席供給量は2割減(2009/11/6)

第4位
ジェットスター、関空線が好調、日本人旅客が15%増−以遠路線も強化へ(2009/11/4)

第5位
JAL再建で政府が「対策本部」設置−資金など諸問題を協議(2009/11/2)

第6位
日米航空協議、自由化MOUで進展−米国側の成田増便意欲なし(2009/11/2)

第7位
全日空、中間期は30年ぶりの営業赤字−国際線売上高は40%減(2009/11/2)

第8位
ハイアット・カンクン、日本市場に強い期待、特別サービス充実で誘客へ(2009/11/2)

第9位
JTBロイヤルロード、愛犬と行くハワイ旅行開始−プライベートジェット利用(2009/11/2)

第10位
コンチネンタル航空、アジア・太平洋地区支社長と日本支社長を任命(2009/11/5)