TPIが「最低価格保証」、仕入れ集中で規模確保−航空会社も限定なし

  • 2009年10月9日
 トラベルプラザインターナショナル(TPI)は、自社のタリフ商品の価格が他社よりも高かった場合に他社の価格以下に値下げする「最低価格保証」を展開中だ。対象期間は一部期間を除き予約が9月2日から10月31日まで、出発が10月1日から11月30日まで。また、対象商品は例外を除いてタリフに掲載した全キャリア。下期の商品説明会で配布した資料では、他社とTPI仕入価格との差額を伝えることで、「他社の価格以下に徹底対抗」すると明示している。

 TPIのねらいは、ゼロコミッションなど業界環境が変化する中で、リテーラーからの仕入れを集中してボリュームを確保し、交渉力の向上やコストの低下につなげることと考えられる。リテーラーに対しては、仕入原価を引き下げることで収益の向上に繋がると訴えることが可能だ。また、これまで営業や担当者ベースで価格交渉していた手間が省けることで、リテーラーに時間短縮、業務効率化の効果をアピールすることができる。


▽「選択と集中」と「全方位」の販売戦略

 こうした施策は、「価格」と豊富な「品揃え」で勝負する家電量販店などのそれと重なる。価格が大きな武器になることは当然であり、品揃えの充実は、顧客に対して「ワンストップ」のメリットになる。価格や品揃えによって集客力が拡大すれば、さらなる規模の確保と交渉力につながる。

 これは、ゼロコミッションが本格化する際に指摘された「選択と集中」とは異なる動きと捉えられる。選択と集中は、ホールセラー側から見ればより有利な条件を得られる航空会社に資源を集中的に投入して販売を拡大し、さらに結びつきを強めることを意味する。そしてその場合でも、有利な条件に支えられた「価格」は武器となる。

 どちらの戦略がより優れているかを判断するには今しばらく時間がかかるだろう。選択と集中は、集中した先で収益が得られなかった場合に危機を迎えるリスクがあり、その意味では、選択と集中をしない「全方位」の戦略はリスクの分散になると言える。一方で全方位戦略では、儲けの少ない航空会社でも価格競争を避けることが難しくなるほか、労力やコストも増えてしまう。

 一つ確かなことは、航空券のホールセラーであっても価格のみがすべてではないことだ。どのような商品であっても、顧客が購入するのは商品だけではなく、その商品の販売に関わるスタッフのスキルや人柄、手元に届くまでのスピード、支払いなどの柔軟性、安心感、アフターケアなど多岐にわたる。もちろんある程度勝負可能な価格あっての話にはなるが、商品を含めた包括的なサービスにも留意が必要だろう。