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JAL再建計画は「不十分」−前原国交相、方向性には理解、首相判断に

  • 2009年9月25日
 国土交通大臣の前原誠司氏は9月24日、日本航空(JL)が進める経営再建の現状を把握するため、JL代表取締役社長の西松遙氏や金融機関の幹部と会談した。西松氏からは再建計画の方向性について説明したほか、改正産業活力再生特別措置法(産業再生法)の適用による公的資金の投入を要請した。これに対して、前原氏は会談終了後に「具体性、実現可能性はまだまだ不十分」と指摘し、再検討を求めた。金融機関も同様の考えであったといい、産業再生法の適用も判断できる段階ではないとした。一方、「残された時間的余裕は少ない」との考えで、内閣総理大臣の鳩山由紀夫氏の帰国を待って「できる限り早く相談し、対応策を内閣として決定したい」と語った。

 西松氏は、前原氏に対して計画案の柱である「路線の大幅な見直し」「コストの削減」「企業構造の柔軟化&多様化」を説明。特にコストについて質問が多かったといい「連結子会社の人件費削減を含めてさらに踏み込んだ削減策を説明した」という。産業再生法の要請は、具体的な金額などは提示しなかったものの、「資金返済などを考えると、結果的に国への依存度を落とせる」との分析によるもの。公的資金を投入することについて納税者の理解をどう得るかとの質問には、「路線網を維持することが我々としてできる恩返し」と言及した。

 こうした西松氏の説明に対して前原氏は、「計画にはかなり努力の跡が見られた」と方向性には理解を示しつつ、「計画そのものが本当に全社を挙げてやっていけるのかどうか。また、時間軸について本当にできるのか疑問を持った」という。その上で、今後の対応として「私としての腹案はあるが、政府全体で取り組む課題であり、総理と相談してできるだけ早く結論を出し、再建に向けた取り組みをしていきたい」と語った。

 このほか、金融機関側が求めているとされる新旧分離案については、前原氏、西松氏ともに現時点での可能性を否定。西松氏は「お客様が離れてしまい、ビジネスにならない」とし、前原氏もあくまで自力再生が基本であると強調。また、前原氏は法的整理の可能性も否定した。

 なお、西松氏は路線の維持で公的資金の投入への理解を得たい考えと述べたが、計画案の柱に路線の大幅な見直しを掲げている上、この日も「営利会社であり、採算をとれる路線でやる。社会的責任を考えれば路線維持もできる範囲でするべきだと思うが、両立させるのはなかなか難しい。ご理解をいただきたい」と語っており、公的資金の投入がどのような形で路線網の維持につながるかは不透明だ。