JTB、08年度は最終赤字23.6億円−不況で売上高3.8%減、出国者シェアは微減

  • 2009年6月1日
 ジェイティービー(JTB)グループの2009年3月期(2008年4月1日〜2009年3月31日)の連結業績で、最終損益は23億5500万円の赤字(前年度:111億2400万円の黒字)となった。売上高は前年比3.8%減の1兆2760億5600万円、営業利益は19.7%減の119億700万円、経常利益は71.8%減の63億4000万円であった。燃油サーチャージの高騰や経済環境の悪化により旅行事業が打撃を受け、売上高が減少。さらに、円高による為替差損や有価証券の評価損なども計上した。

 2009年3月期の連結対象会社は、ツムラーレグループなどの買収により24社増の200社。従業員数は4.9%増の2万8352人となった一方、人件費は0.1%増の1708億1400万円となった。

 旅行事業のうち、海外旅行の売上高は需要の減退により8.4%減の4928億6600万円となった。国内旅行は0.8%減の5997億6200万円で、国際旅行のみ1.2%増の432億1000万円と増加。その結果、合計では4.2%減の1兆1358億3800万円となった。原価は、海外旅行が10.7%減の3785億3500万円、国内旅行が0.1%減の4749億2700万円、国際旅行が1.1%増の328億4700万円、合計は4.9%減の8863億900万円であった。

 海外旅行の取扱人員は10.0%減の354万人となり、出国者推計値に対するシェアは0.5ポイント減の22.5%となった。方面別では、韓国が17.0%増と伸びた以外は前期を割り込んだ。


▽今期は黒字回復めざす−体質強化、インフル禍の回復に取り組み

 2010年3月期は、売上高が2.5%増の1兆3080億円、営業利益が79.8%減の24億円、経常利益が26.2%増の80億円、最終損益は10億円の黒字化をめざす。新型インフルエンザの影響は盛り込んでおらず、JTB代表取締役社長の田川博己氏は「当面は非常に厳しい環境が続く」と危機感を示しつつ、体質強化のチャンスと捉えて取り組む方針を説明。新中期経営計画の初年度として、成長分野に経営資源を投下して事業基盤を確立するほか、中核事業の再成長に向けて構造改革を進め、事業競争力を強化する。

 新型インフルエンザでは、5月29日時点で150億円以上の影響を受けている見込みだが、7月から8月の予約は回復傾向にあるといい、回復に向けて施策を展開する方針だ。