旅のテーマ:アジアの屋台巡り(5)中国−ユニークな素材、料理技術に注目
鍋ひとつで“屋台”がオープン
世界三大料理のひとつに数えられる中国では古くから、「食」をとても大切なこととしてきた。“人間=口”という考えは、「人口」「糊口」などの言葉を通してわが国にも伝わっている。戦国時代、秦の宰相が全国の食材を調査・記録させて以降、歴代の支配者はみな食に強い関心を寄せてきたという。そのこだわりは庶民レベルにもおよび、さまざまな民族との交流と長い時を経て、中国料理は今日のように発展してきたのである。
中国人は、鍋ひとつあればどこでも商売をはじめられるという。当然、街中では普通に屋台を見かける。都市の駅やバスターミナルの前には必ずというほど屋台があり、市場の周辺などにも多い。町によっては、夕方から夜にかけてあかあかと明かりが灯る屋台街が出現する通りもある。その形態は、道端に鍋を据え付けただけの立ち食いスタイルの屋台から、小さないすとテーブルを備えたもの、移動しやすい車になっているものなどさまざま。広大な中国では地域によって料理も大きく異なるが、屋台で扱うものは1皿でも満足できる主食系が多い。
お馴染みの豚まんやお粥から、驚きの食材まで
中国の屋台が面白いのは、たとえみすぼらしい店でも驚くほどおいしい料理や意外な料理、屋台とは思えない技術を用いた料理に出会えること。何気なく注文した食べ物が、寒天のような食材を辛いスープで煮込んだ、日本では見慣れない料理であったり、鍋のふちに羊の内臓を山のように積み上げた、一見グロテスクな料理だったりする。北京の王府井付近を散策すると、串刺しにされたセミの子やバッタ、サソリやヒトデなどが、店頭にきれいに並べられているのを見かける。その場で麺を打つ本格派の屋台があり、時には山西省の名物「刀削麺」屋台で、専用の刀で小麦生地を鍋に削り入れる熟練の技を、何気なく見せてくれたりする。
屋台は朝食から店をひらく。町を歩くと、湯気があちこちで上がっている光景に食欲をそそられる。朝食屋台の定番といえば、「包子(バオズ)」という豚まんや、お粥の「稀飯(シーファン)」、揚げパンのような「油条(ヨウティアオ)」など。包子には蒸したものと焼いたものの2種類があり、ピンポン玉大のものが10個程度が入ったせいろ売りと、それより少し大ぶりのバラ売りとがある。稀飯は普通、味がついていないので、漬物や塩辛いアヒルのゆで卵などと一緒に食べる。油条は豆乳やお粥と一緒に注文し、それにひたして口に運ぶ。
麺類はアジアのどの国でも屋台料理の主役だ。「拉面(ラーミェン)」は引っ張って作る麺のことで、代表核は牛肉が載った「牛肉面(ニュウロウミェン)」。土鍋にさまざまな具が入った水炊き「砂鍋(シャーグオ)」は、あっさりしており日本人にうれしい味。鍋のサイズは地域によって違うが、小さければ1人でも楽しめる。このほか羊肉の串焼き「■羊肉串(カオヤンロウチュアン)」も一般的な屋台フードだ。1本1元(約15円)前後と安く、小腹が空いたときについ食べたくなる。
中国の屋台には売り物の名が貼り出してあるものが多く、漢字が読める日本人なら注文するのにあまり苦労はない。料金は最初に払う場合と後払いの場合がある。お釣りがない場合もあるので、お金はできるだけ細かいものを用意しておこう。
■=火へんに考
▽今週の旅のテーマ
◆旅のテーマ:アジアの屋台巡り(4)インド−多様なスナックが特徴(2009/04/09)
◆旅のテーマ:アジアの屋台巡り(3)タイ−庶民の味を気軽に味わう(2009/04/08)
◆旅のテーマ:アジアの屋台巡り(2)韓国−ノジョムとポジャンマチャ(2009/04/07)
◆旅のテーマ:アジアの屋台巡り(1)台湾−夜市(2009/04/06)


お馴染みの豚まんやお粥から、驚きの食材まで

屋台は朝食から店をひらく。町を歩くと、湯気があちこちで上がっている光景に食欲をそそられる。朝食屋台の定番といえば、「包子(バオズ)」という豚まんや、お粥の「稀飯(シーファン)」、揚げパンのような「油条(ヨウティアオ)」など。包子には蒸したものと焼いたものの2種類があり、ピンポン玉大のものが10個程度が入ったせいろ売りと、それより少し大ぶりのバラ売りとがある。稀飯は普通、味がついていないので、漬物や塩辛いアヒルのゆで卵などと一緒に食べる。油条は豆乳やお粥と一緒に注文し、それにひたして口に運ぶ。
麺類はアジアのどの国でも屋台料理の主役だ。「拉面(ラーミェン)」は引っ張って作る麺のことで、代表核は牛肉が載った「牛肉面(ニュウロウミェン)」。土鍋にさまざまな具が入った水炊き「砂鍋(シャーグオ)」は、あっさりしており日本人にうれしい味。鍋のサイズは地域によって違うが、小さければ1人でも楽しめる。このほか羊肉の串焼き「■羊肉串(カオヤンロウチュアン)」も一般的な屋台フードだ。1本1元(約15円)前後と安く、小腹が空いたときについ食べたくなる。
中国の屋台には売り物の名が貼り出してあるものが多く、漢字が読める日本人なら注文するのにあまり苦労はない。料金は最初に払う場合と後払いの場合がある。お釣りがない場合もあるので、お金はできるだけ細かいものを用意しておこう。
■=火へんに考
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