旅のテーマ:アジアの屋台巡り(3)タイ−庶民の味を気軽に味わう

  • 2009年4月8日
屋台ならではのユニーク、かつ華麗な技

 日本でも人気が高いタイ料理。さまざまな食材とスパイスを用いたバラエティ豊かな料理は、辛味と酸味、甘味が混じりあった奥深い味が特徴で、世界を代表する料理のひとつとして高い評価を受けている。

 タイを訪れると必ず、道端にずらりと並ぶ屋台を目にする機会があるだろう。食べ物を売る店がどこまでも連なる光景は、非常に活気があり豊かな雰囲気だ。タイには共稼ぎの夫婦が多く、アパートにはキッチンが存在しない場合が多い。自炊をする方がかえって高くついたり、暑さのため食材がすぐに傷んだりするため、外食をするほうが合理的だ。そしてそんな庶民の味方が、どこにでも見られる屋台なのだ。

 タイの屋台で食べられる料理は種類が豊富。ごはんとお惣菜、麺類や粥など、座ってしっかり食事ができるものや、スナックのようにつまめるもの、ほかスイーツやフルーツ、ドリンクなどの屋台がある。基本的には麺料理の屋台、ご飯料理の屋台というように1つの屋台が1つの品目を扱っている。料理は持ち帰ることも可能で、ジュースやスープなど液状のものでもビニール袋に入れてくれる。空気が入ってふくらんだビニール袋を、手早くきっちりとゴムでしばる技は、芸術的ですらある。


代表的なメニューとマナー

 タイの代表的な屋台料理をいくつかあげてみよう。鶏のスープで炊いたご飯の上に、やわらかくゆでた鶏肉を載せた「カオマンガイ」は、タイのみならず東南アジア諸国でよく食べられている料理。ご飯には鶏のうまみがしみ込み、鶏はあっさりしており日本人の口にもよくあう。「パッタイ」はタイ風焼きそば。米でできた太い麺に鶏肉やエビ、豆腐などの具を入れて炒める屋台の定番料理だ。「クイティアオ」も米の麺で、スープがあるものとないものがある。麺の太さとスープの有無や種類、具を指定して注文する。米麺のほかに「バミー」と呼ばれる小麦麺も選ぶことが可能。屋台の定番メニューではないが、「カオニャオ・マムアン」は試してみたいスイーツ。甘いもち米にマンゴーを添えたもので、日本人には想像がつきにくい組みあわせだが、意外なおいしさに驚くことだろう。

 観光客が多い町やエリアには、英語が通じるなど外国人が利用しやすい屋台が多く、屋台デビューにはうってつけ。しかし、一般的に屋台にはメニューがなく、英語も通じないところが多い。タイ語が話せない場合は身振り手振りになるが、並んでいる食材を指差しながらオーダーして、どんな料理が出てくるかも楽しみのひとつだ。ちなみに、タイでは麺をすすって食べたり食器に口を付けたりする事はマナーが悪いとされている。具にかぶりつくことも避け、スプーンなどで一口大に切ってから食べるようにしたい。

 おいしい食べ物がいつでも、どこでも味わえるといっても過言でないタイ。屋台の存在のおかげで、旅の楽しみはぐっと広がる。片言のタイ語を覚えて注文してみたり、お気に入りの味の屋台を探したり、屋台の店主や相席になった人との触れあいを楽しんだり。それもタイの屋台を味わう魅力のひとつだろう。


▽今週の旅のテーマ
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