ヨーロッパのクリスマスマーケット(3)フランス―アルザスとプロヴァンス

  • 2008年12月10日
 昨日紹介したドイツのお隣フランスでも、各地でクリスマスマーケットが開かれる。なかでも有名なのが、ドイツとの国境に接するアルザス地方。都市部から小さな村まで35ヶ所に市が立ち、シーズン中は国内外から訪れる人々でにぎわう。

 アルザスのクリスマスマーケットの歴史は古く、例えばストラスブールは1570年から続いているという。ここはクリスマスツリー発祥の地のひとつ。セレスタの町の図書館には、クリスマスツリー販売の最初の記述が残されている。由緒正しいクリスマスマーケットなのだ。ちなみに最古のクリスマスツリーはリンゴやナッツで飾り付けられたが、リンゴが収穫できなかったある年に、現在のオーソドックスなオーナメントであるボール型の飾りが考案されたのだそう。

 このクリスマスマーケットの魅力をフランス政府観光局に聞くと「各地域特有の町並みのなかで見られる、特色あるデコレーション」とのこと。たとえばアルザス第2の都市・ミュールーズはテキスタイルの産地として知られているが、クリスマスマーケットでは美しいプリントのテキスタイルによるデコレーションがされるそうだ。

 アルザスのクリスマスマーケットは、フランス政府観光局によると地域の特色によって「7つの里」に分けられ、それぞれに名前がついているという。「神秘の里」「光の里」「味わいの里」「モミの木の里」「星の里」「歌と織物の里」といったものだ。例えば「歌と織物の里」には前述のミュールーズが含まれ、「モミの木の里」にはセレスタが入っている。この特色を意識しながらアルザスのクリスマスマーケット巡りをすれば、それぞれの町の個性がよりよくつかめ、楽しみが増すに違いない。

 パリ/ストラスブール間は2007年6月にTGV東線が開通して、以前は4時間かかったところを2時間20分で行けるようになった。「航空券の値段も比較的安いこの時期、ぜひ多くの日本人に訪れてもらいたいクリスマスマーケット」と観光局はすすめる。

 アルザス以外のエリアでは「プロヴァンス地方のクリスマスマーケット」と観光局はすすめている。「プロヴァンスのクリスマスマーケットで特徴的なのは、この地方に古くから伝わるサントン人形の屋台が多いこと。粘土を焼いてさまざまな職業の人々を形づくったもので、クリスマスにはキリスト誕生の場面を表した飾り(クレッシュ)にも使われます」

 表情豊かなサントン人形を眺めていると、お互いにどんな会話を交わしているのだろうとつい楽しい想像が広がってしまう。人形が彩りを添えるプロヴァンスのクリスマスマーケット。南仏らしい明るい雰囲気とともに楽しみたい。


▽参考サイト
フランス政府観光局のクリスマス特集
http://jp.franceguide.com/home.html?NodeID=1422


▽関連記事
ヨーロッパのクリスマスマーケット(2)ドイツ−3大マーケットとベルリン(2008/12/09)
シーズン到来、ヨーロッパのクリスマスマーケット(1) (2008/12/08)