世界一規模の航空会社にやりがい−統合へ向けて日本市場でも本格始動

デルタ航空(DL)とノースウエスト航空(NW)の合併について、アメリカ司法当局(DOJ)が異議を唱えないことを決定し、両社は正式に合併契約を締結した。欧州委員会からは既に承認を得ており、これにより両社の統合に向けた計画が今後1年から2年をかけて動き出す。日本市場では、成田国際空港における週間発着回数はNWが338回、DLが14回と、両社をあわせて12%のシェアを占め、日本航空(JL)の20.6%、全日空(NH)の14.2%と比べても影響力は大きい。NW日本支社長のジェフリー・S・バーニアー氏に聞いた。
■日本支社の統合について
合併が決まったとはいえ、ビジネスは通常通りに進む。太平洋路線で60年以上に渡りサービスを展開してきており、「デルタ」ブランドで様々な方面と最も良い関係を築いていきたい。既に、DL太平洋地区マネージング・ディレクターのリカルド・オカモト氏と成功に向けたミーティングを持っている。コンセプトは「迅速」、かつ「合理的」に取り組んでいくことだ。日本では、セールスの統合に着手することを先行する。具体的には、アカウント、セールス担当者の個々に至るまで、統合グループで話し合っていく。
■路線網の相互補完のメリットと日本市場の重要性
路線網としては、DLがNWを吸収することとなり、ラテンアメリカに強いDLと太平洋に強いNWが組むことで相互補完ができる。2009年第1四半期には、これまで2社が独自の営業展開から、統合した効果を見せることができる。特に、コスト削減と収益拡大により、2年後には年間20億米ドルの相乗効果が生まれると想定している。その中で、成田はハブ空港となる重要な位置を占めることになる。たとえば、成田から南米へのネットワークが拡充することにより、これまでより一層、シームレスな形でサービスの提供ができるだろう。新会社「デルタ航空」にとって日本は戦略的に重要な位置にあり、成長することで顧客層の拡大につながる。そして、どの拠点、部署でも同様だが、顧客満足度を高めることが最重要課題であり、これを実現するためのサービスの向上、そして従業員への満足度を高めていくことができる。
機材繰りの点でも、NWがボーイング747型機を中心としているところ、DLがB767型機、B777型機を中心としており、これらの機材を融通、組み換えすることで機会の拡大につなげることができる。当然ながら、シートの改善、特にDLはビジネスクラスのシートのリニューアルなど、顧客満足度を高めることにつながる施策は両社の話で決まっていくことだが、積極的に考えていくだろう。既に、政府関係や旅行会社、法人顧客などの反応もポジティブな意見を聞くことが多い。

統合に向けて、従業員を大切にしていくことを重視している。特に、効果的なコミュニケーションが重要だ。ビジネスの改善をはかっていくことで、最終的には株主や顧客満足度が高まり、航空業界での競争力が高まる。統合により、世界で最大規模の航空会社となることに対して、ある種の興奮ややりがいを感じているスタッフが多い。経営陣と従業員のコミュニケーションも円滑に行なわれている。必要な事項についてはイントラネットやメールなどで伝えると共に、CEOのリチャード・アンダーソン氏をはじめ、「オープン・ドア・ポリシー」で従業員の話を聞くようにしている。
■旅行会社との関係
旅行会社とのビジネスの上で、ネットワークの拡大は大きなメリットとなるだろう。これまで手がけられなかったデスティネーションの販売に着手できることとなり、旅行会社が顧客に提供できる機会を創出、拡大につなげることができるだろう。新会社の投資により、より良いプロダクトを提供していくことで、さらに良好な関係を築くことができる。コミッションは、現在は両社の対応が異なるが、統合の過程でベストな方法を考えていくことになる。
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