若者の海外旅行動向、経験者の40%超はリピーターに−帝京大の学生調査

  • 2008年11月6日
 帝京大学経済学部観光経営学科の石井昭夫ゼミではこのほど、海外旅行に関する意識調査を実施、その結果を取りまとめた。これは旅行業界から「若者の海外旅行離れ」といわれるものの、意識調査の事例が少ないことからゼミの調査研究として実施したもの。有効回答数は1055件で、男女比は男性72.6%、女性24.0%であった。

 これによると、海外旅行経験は51.1%が経験ありと回答している。また、経験回数は1回が49.7%、2回が17.8%、3回以上が26.2%となり、経験者の44%超が海外旅行のリピーターとなっている。海外旅行を経験した時期(複数回答)については、小学生までが39.9%、中学・高校生が72.2%、大学生では14.7%となった。また、どのような機会の海外旅行かを訪ねた質問では、両親や親せきとの経験は50%を超え、修学旅行も40%超となり、両親や学校などでの機会も多いとみられる。大学生での海外旅行は14.7%だが、このうち60.1%が3年生と4年生であった。

 大学生の間に海外旅行をする予定や希望では、是非したいが39.4%、出来ればしたいが35.7%と2回答をあわせて75.1%が海外旅行の意欲を示している。あまり興味がないは9.3%、する気はないが8.7%となり、若者が海外旅行をしたくない、とはいえなさそうだ。また、「若者の間に海外旅行熱が減退したといわれること」についても質問をしており、そう思うの回答は34.3%で、そうは思わないが50.5%となり、業界側の意見とのズレがみられる。自由回答でも忙しい、金がない、英語が出来ない、海外に行くのにビビッている、燃油サーチャージが高いなどの回答がある一方、学生のうちに行くことで勉強になるというコメントもあった。

 石井教授は今後の論点として、若者世代の絶対数が10年前と比べて減少しており、「若者が海外旅行に行かない」ことは人口に占める割合で経験者数が減っているかの議論や関係を考察する必要性を指摘。海外旅行の統計では、旅行目的が明示されていないが、出張などの義務的な旅行がない若者層については円安や不景気など社会的な環境にも影響されやすいことから、こうした点を加味した議論も必要だとしている。また、今回の調査では51%が海外旅行の経験があることから、海外旅行の「熱」に還元してよい議論であるかへの疑問と同時に、海外旅行への関心の高さについて視点を変えて調査する必要性も言及している。なお、今後、1月ごろをめどに学生論集として、さらに詳細をまとめる予定だという。


▽アンケート概要と結果
・性別 男性72.6%、女性 24.0%
・学年 1年 316人(30.0%)、2年 454人(43.0%)、3年 191人(18.1%)、4年  77人(7.3%)、無回答 17人 (1.6%)、合計 1055人(100%)

■海外旅行経験の有無(1055回答)
「ある」 51.1%、「ない」 48.8%、「無回答」 0.1%
■海外旅行回数(539回答)
「1回」 49.7%、「2回」 17.8%、「3回以上」 26.2%
■海外旅行の行先(複数回答、539回答)
「近隣アジア諸国(中国、台湾、韓国、ASEAN諸国など)」 39.5%、「ハワイ、グアム、サイパン」 39.1%、「北米(アメリカ本土、カナダ、メキシコなど)」 20.0%、「ヨーロッパ(ロシアを含む)」 15.2%、「オセアニア(オーストラリア、ニュージーランド)」 28.2%、「その他」 4.8%、「無回答」 0.6%
■海外旅行の予定(1055回答)
「是非したい」 39.4%、「出来ればしたい」 35.7%、「予定はないがするかもしれない」 6.1%、「あまり興味がない」 9.3%、「する気はない」 8.7%、「無回答」 0.8%
■海外旅行の手配の方法(複数回答、1055回答)
「一般のパッケージツアーを利用」 39.9%、「卒業旅行など学生用のパッケージ旅行を利用」 54.2%、「外国に住んでいる友人・親戚を訪ねる」 8.2%、「安い航空券を買ってホテルなども探して観光」 39.8%、「その他」 1.9%、「無回答」 2.1%
■積極的に海外旅行をしたいと思わない理由(複数回答、最大3つまで、254回答)
「先にもっと国内旅行をしたい」 35.4%、「ほかにしたいこと(ほしいもの)がある」 11.8%、「お金がない」 53.9%、「時間がない」 26.0%、「一緒に行く人がいない」 3.5%、「どうしていいかわからない」 11.8%、「そもそも海外旅行に興味がない」 24.8%、「言葉がわからなくて不安」 37.8%、「飛行機が嫌だから」 9.8%、「その他」 8.7%、「無回答」 7.1%