コミッションや燃油サーチャージの対応苦慮−シンプルにすることは良い方向

  • 2008年10月31日
 都内で開かれた「トラベル・ディストリビューション・ジャパン2008」において、ユナイテッド航空(UA)日本地区旅客営業統括本部長のバリー・バーグマン氏、キャセイパシフィック航空(CX)日本支社長のジェームズ・ウッドロー氏、ビバマカオ航空(ZX)取締役のレジナルド・マクドナルド氏が、航空会社のディストリビューションとマーケティング戦略について語った。コミッション・カットや燃油サーチャージの取扱いなど、対応の難しい課題について言及した。

 燃油サーチャージの取扱いについては、全日空(NH)が先ごろ、旅行会社が募集型企画旅行に利用するIT運賃について燃油サーチャージを含む包括型の新IT運賃を提供する方針を示している。これについて、ウッドロー氏は、航空燃料の価格が現在ほど下がる予測もなく、CXの燃油サーチャージ額は低く抑えているものの、その代償として上半期の業績は6億6300万香港ドル(業績公表時:約94.8億円/1.0香港ドル=約14.3円)の赤字となり、株価も下落した状況を説明。このため、包括運賃では「航空会社がリスクを背負うことになる」としつつも、「(燃油代を含むIT運賃は)するともしないともいえない」と前置きし、「シンプルにしていくことは良い方向」と述べた。

 ゼロコミッションの流れについては、バーグマン氏はアメリカの旅行業界の状況を紹介。ゼロコミッションで店舗数は3分の1に減少したものの、残った旅行会社の売上は上昇しており、サービスに対する課金が対応のポイントとした。例として、会計士や弁護士と同様に時間やサービスに対して明確にサービスフィーとしていることを引き合いにし、私見ながら「日本でのサービス全般に質は高いが、それにコストを払っている部分もあるのでは」と問題提起した。また、ウッドロー氏はCXとしてSARSやアジア通貨危機など非常時において何度もコスト削減や見直しを行ってきた経緯に触れつつ、「航空会社はコストのマネージメントを強化している」と動向を述べ、市場の流れとして「これからはお客様からもらうように変化していかなければ」とした。マクドナルド氏は、チャーター便で日本へ乗り入れていることから、「他の市場では利用していないが、日本ではGDSを利用して旅行各社と取引をしている」とし、直販ではない点を強調した。3氏とも、サプライヤーとして良いサービスを提供していくことが鍵という点では一致し、そのための努力をしていくことも言及した。