エア・アジア、来年に就航か、市場低迷は価格「高すぎ」−旅行会社も重視

  • 2008年9月19日
 エア・アジア・グループCEOのトニー・フェルナンデス氏が9月18日、JATA国際観光会議2008で特別講演において、日本の海外旅行市場の低迷は「(旅行費用が)高すぎることが原因」と語り、格安航空会社(LCC)として日本に就航し「日本市場を刺激したい」と強い意欲を見せた。

 特に、LCCの就航は日本のアウトバウンドだけでなく、多くの日本インバウンドを創出する。このため、インバウンドではビザ取得の手続きの簡素化、複数の地方都市からの直行便の就航をめざす。エア・アジアX(D7)が就航を検討している茨城空港についても、「90分をかけても移動したいと思うようにしたい。就航することでコストを下げ、日本の人たちが世界へ旅行できるようにしたい」とも語り、インとアウトの双方向を意識。また、講演の最後には、JATAが推進するビジット・ワールド・キャンペーン(VWC)の標語「もっと!海外へ」をなぞらえ、「飛行機で海外へ」と語り、会場を盛り上げた。


▽就航は「2009年」、運賃は「レガシーキャリアの平均50%から60%引き」

 D7の就航時期について、D7CEOのアズラン・オスマラン-ラニ氏は時期の明言を避けたものの、フェルナンデス氏は「2009年内に実現したい」との意向を表明。就航地は「札幌から北九州、福岡まで日本各地の6つの空港と交渉を進めている」とし、「羽田や茨城が最初の就航地として好ましい」と言及。さらに、「多くの人に否定されたとしても諦めない。肯定してくれる人が1人いれば、次第にそうした人は増えていくもの」と強い意志を示した。既存航空会社との競争や空港会社との交渉など市場環境が厳しいのではないか、との指摘に対しては、「(母国の)マレーシアでも既存航空会社の顧客を奪ったわけではなく、われわれは航空旅客の絶対数を増やしている」と新たな市場を創出していると強調。空港は、着陸料などの割引が得られない場合でも、他社よりも割安な料金を提供することは可能という。ただし、羽田や茨城に関しては2010年以降になるため、他の空港に就航する可能性も高い。東京、大阪、名古屋、福岡など、「全都市確実に飛ぶ。時間の問題」ともコメントしている。

 こうした多くの都市への就航を検討するのは、これまでの実績で新たな市場を開拓している自負があるためで、クアラルンプール/マカオ線を例にあげ、就航当初は1日1便であったところ、現在は12便まで増えており、日本も同様にデイリー運航をダブルデイリー、トリプルデイリーと増便していくという。運賃は、オーストラリア線の場合、レガシーキャリアと比べて平均的に50%から60%引きといい、「例えば東京/クアラルンプール線の就航記念価格は片道25米ドル(約2600円)程度」という。

 日本市場での旅行会社との関係については、「国ごとに環境は違うが、中国では50%から60%が旅行会社の販売。旅行会社は流通販路のひとつで、旅行者がクアラルンプールに行きたいだけでなく、バリやゴールドコースト、プーケット、バリなどあらゆるデスティネーションに行きたいと考えており、そのためのパッケージ商品が必要」といい、今回の来日でも複数の会社と接触したという。ただし、オスマラン-ラニ氏はアウトバウンドとインバウンドの割合について、「50%と50%のバランスが必要」としており、あくまでも日本アウトバウンドと日本インバウンドの双方が活性化することといい、そのためには日本政府や地方自治体、さらに旅行会社との協力が不可欠という。