燃油サーチャージ値上げ、旅行会社は「タイミングが悪い」と需要を懸念

  • 2008年8月19日
 全日空(NH)が10月以降の新たな燃油サーチャージ額を申請したことで、旅行会社からは早くもレジャー、ビジネスを問わず、需要への影響を懸念する声が出てきている。このタイミングでの値上げにより、日本人出国者数が1600万人を割るという悲観的な見方が現実味を帯びてきつつある。ただし、ある旅行会社が言うように「日本航空(JL)の値上げも時間の問題。外国航空会社が戦略的に値上げを踏みとどまるなど、どう動くかが(消費者の)流れをきめる」という声や、「(消費者は)総額を見ており、IT運賃を含めた旅行商品の総額がポイント」と、厳しい時期ながらも、販売のチャンスをうかがう意欲も聞かれるが、現実は厳しいようだ。

 大手旅行会社の幹部は、「消費者は6月から7月にかけて、原油価格の高騰にあわせた旅行商品の値上げが一般紙で報道されたことに反応し、コールセンターの電話が鳴らなかったほど」といい、値上げの理解は浸透したものの、需要への影響が目に見える形で表れたことを説明。その一方で、「店頭ではすでに『原油価格が下がっていることから、10月には(燃油サーチャージ額が)下がるよね』というお客様の声が寄せられている」といい、消費者は燃油サーチャージが下がるタイミングであると期待していると代弁する。すでに発表されたNH分については、パッケージでNH指定の商品の場合は、これまでどおり申込者に対して変更があった旨を伝えていくが、「ようやく落ち着いていた燃油サーチャージの反応が、また増える可能性がある」と懸念を示す。

 業務渡航を中心とした旅行会社でも「景気が悪くなっているところで、大手企業が出張経費を削るように通達している」としており、「ビジネスクラスの利用からエコノミークラスへのダウングレード、出張そのものの見直しなど影響があるのでは」と戦々恐々だ。特に、「航空会社が値上げの判断を間違えると、需要が流れることもあるのでは」とし、日系から他社、あるいは出張そのものの需要縮小に懸念を示しており、旅行需要そのものが弱含みの中での燃油サーチャージの値上げ、さらにIATA運賃の値上げが重なり、今後は一段と厳しい環境になることは間違いないとの見方だ。


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