全日空、第1四半期の営収1.2%減も営利10%増−値上げ限界に近く

  • 2008年8月1日
 全日空(NH)の第1四半期(平成20年4月1日〜6月30日)連結業績は営業収入が1.2%減の3455億円、営業利益は10.5%増の146億円、経常利益は62.7%増の110億円、四半期純利益は92.4%減の66億円となった。純利益の大幅減少は、前年に特別利益を計上した反動。営業利益の増加は、需要の停滞があるものの、仕入れや販売管理費の削減で黒字を確保した。

 営業収入のうち、国際線旅客事業は売上高が2.8%増の785億円。増収額は21億円で、燃油サーチャージを含む運賃の値上げが45億円の増収効果、円高など為替要因が17億円の減収、新たな路線就航などがなく生産量の調整で5億円から6億円の減収効果となっている。旅客の動向は、欧米線を中心にビジネス需要が堅調に推移したものの、中国線では四川大地震や食の問題から低迷し、総旅客数が4%減の114万8476人と旅客数は伸び悩んだ。

 なお、今後の燃油については10月以降の燃油サーチャージ額をはじめ「最終形を詰めている」(執行役員財務部長の金澤栄次氏)ところ。額については、10月発券分から値上げを示唆しつつも、「今までと(値上げの)ペースが同じは難しい。お客様に負担をいただく金額にも限度がある」(金澤氏)としており、NHとしても原油価格の上昇によるコスト増を消費者へそのまま転嫁することにも厳しい状況にあることから、苦しい判断の局面にあるようだ。

 平成21年度3月期の予想については、期初予想の変更はしない。報道されている運休や減便に関連した増減収の効果は金澤氏によると、「算定しきれていない」が「厳しい環境だが、期初予想を変えずに取り組む」とし、国際線では特に「個人旅行の取り込みを全方面で行う」方針だ。


▽航空旅客部門
国際線旅客収入/785億5900万円(2.8%増)
国際線旅客数/114万8476人(0.4%減)
国際線利用率/72.3%(1.3%ポイント減)
国内線旅客収入/1664億4600万円(1.0%減)
国内線旅客数/1045万3823人(2.8%減)
国内線利用率/60.9%(0.8%ポイント増)