ビザまめ知識(8)−ビザトラブルを受ける要因(その2)

  • 2008年3月13日
前回に引き続き、ビザトラブルを受ける要因を説明していこう。

5.「米国の関係者(アドバイザーやカウンセラー)の指示に従ってしまう」

 日本で生活している日本人は、日本に住む外国人がビザによって日本国内での行動に制限があることをどこまで知っているだろうか。巷のレストランなどで働く外国人を多く見かけるので、意外に簡単に働けるものなんだと感じるだろう。このように、日本のビザを必要とする外国人についての知識が日本人にないのと同じく、米国人にとって外国人である日本人が米国に滞在するためのビザについて知っているという訳ではない。アドバイザーやカウンセラーだからといって、移民法の専門知識を備えているとは必ずしも言い切れないのである。

6.「上司の指示に従った」

 会社の指示で頻繁にビザなしで出張に行き、ついに入国拒否にあってしまうというケースは少なくない。「仕事だから」と割り切れる問題では決してない。移民法の罰則は会社ではなく個人に課されるもので、「会社の指示で」「仕事だから」という理由は通用せず、入国拒否をうけた本人は一生ビザなしで米国に入国ができなくなのだ。会社側への直接的な罰則はないが、場合によっては本人に多大な不安を与えることになり、訴訟問題へ発展することも考えられる。

7.「嘘の申告をして入国を試みた」

 米国入国の目的を聞かれたときに、「仕事」であるにもかかわらず「観光」と答えてその場しのぎをするなど、嘘を軽く考えがちであるが、移民法では「虚偽の申告」は重罪に値し、その後のビザ申請に大きく影響するので注意が必要である。

8.「最新のビザ申請傾向を把握していなかった」

 移民法の規定やポリシー、申請傾向などは頻繁に変わるので、つねに最新の情報を把握することが重要である。過去にビザを取得できていても、傾向が変われば申請が却下されるケースが多々ある。最新の情報を入手することはトラブル回避の方法のひとつといえる。

以上がビザトラブルを受ける大きな要因となるが、結果として修復手続きを行なわない限りは、二度と米国への入国は出来ないという厳しいペナルティを受けることになる。



執筆:チャールズ・W・プレイ弁護士
(アルビスジャパン主任弁護士)

経歴:
前カナダ外交官
カナダ弁護士会会長(1997〜1998年)
CIPC議長

前カナダ外交官。現在は移民法専門事務所のアルビスジャパ
ン主任弁護士として、多くの日本人のビザや永住権などの取
得サポート。米国移民弁護士協会(AILA)、やカナダ弁護士
協会(CBA)や国際弁護士協会に所属し、専門家、企業や法人
に対し米国、カナダ両国の移民に関する法的サービスを行う
国際移民弁護士。 現在、移民問題に関する記事を執筆し、移
民政策に関してカナダの上級政府官僚に定期的にアドバイスしている。


▽ビザまめ知識 シリーズ
ビザまめ知識(1)−9.11テロ事件以降、米国ビザに生じた変化(2007/11/22)
ビザまめ知識(2)−米国ビザ発給数の推移(2007/12/06)
ビザまめ知識(3)−ビザ申請却下の事例と注意(その1)(2007/12/20)
ビザまめ知識(4)−ビザ申請却下の事例と注意(その2)(2008/01/17)
ビザまめ知識(5)−ビザ申請却下を回避するには(2008/01/31)
ビザまめ知識(6)−ビザトラブルとは何か(2008/02/14)
ビザまめ知識(7)−ビザトラブルを受ける要因(その1)(2008/02/28)