近畿日本ツーリスト（KNT）は2007年度通期（1月1日〜12月31日）決算で、営業収益が前年比1.9％減の811億7100万円、営業利益が79.3％減の2億9200万円、経常利益が43.5％減の11億6200万円、当期純損失は39億800万円となった。KNTでは、07年8月に旅行券等などの未使用分を特別損失として49億4100万円計上、さらに08年1月には燃油高騰などによる海外旅行取り扱いの伸び悩みから業績予想を下方修正していた。

　2007年度は、1月から企業ブランド名「KNT」とロゴを制定したほか、京成トラベルサービスとの提携強化や角川クロスメディアと連携した顧客情報誌の発行、韓国のハナツアーとの業務提携を行うといった協業を進めた。組織面では、全社最適経営を推進するため、組織再編を進める経営改革室を新設し、一部の組織改正も実施した。海外旅行では、韓国観光公社（KTO）との業務提携に基づく送客15万人キャンペーンが成功するなど、アジア方面が好調であった一方、北米やオセアニア方面などが前期を下回った。国内旅行は個人旅行が全体的に好調であった。

　2008年度は、1月1日付けでKNTツーリストを店頭販売専門会社として設立、商品企画部門と仕入れ部門を統合、一体化する組織再編を敢行している。このメリットを活用し、個人旅行向けにはマーケットや購買方法に即応した商品を提供するほか、ウェブやモバイルを活用したeビジネスの強化、提携販売店の支援強化をはかり、団体旅行ではMICEマーケットでの営業を強化する。これらにより、通期での業績予想は、営業収益2.3％増の830億円、営業利益は208.2％増の9億円、経常利益は29.1％増の15億円、当期純利益は48億800万円増の9億円を見込む。

　なお、3月28日開催予定の第70期定時株主総会で、定款の一部変更を付議する予定だ。変更点は、取締役会の議長を社長から会長に変更するもの。社長は議案の説明に専念することで、会議の円滑化と議論の充実を図る。会長を定めていない時は、社長が議長を務める。

▽2007年度通期連結業績（項目／金額／対前年比）
営業収益／811億7100万円／1.9％減
営業利益／2億9200万円／79.3％減
経常利益／11億6200万円／43.5％減
当期純損失／39億800万円／52億300万円減

▽2008年度中間期連結業績予想（項目／金額／対前年比）
営業収益／366億円／1.7％減
営業損失／21億円／7300万円減
経常損失／16億5000万円／1000万円減
当期純損失／25億円／36億600万円減

▽2008年度通期連結業績予想（項目／金額／対前年比）
営業収益／830億円／2.3％増
営業利益／9億円／208.2％増
経常利益／15億円／29.1％増
当期純利益／9億円／48億800万円増