アクセスランキング、年間1位は?−来年は店舗の独自性の確立が課題

  • 2007年12月26日
[総評] 今年は皆さんにとって、どのような一年でしたか。仕事で大きな成果をあげた、昨年よりも着実に前進したなど、感想はそれぞれお持ちでしょう。トラベルビジョンでは、一年間にわたりお伝えしてきたニュースのランキングを取りまとめました。皆さんの一年の振り返りと、来年の計画にもお役立てをいただければと思います。

 アクセス・ランキングの第1位は浅田舞・真央選手が日加観光交流年で親善大使に就任したこと、第2位にはミシュランガイド東京発行、第3位はNTB のNOVAグループから離脱、第4位はシンガポール航空が購入したA380 型機の「シンガポール航空スイート」の発表、第5位は日本旅行の旅行ギフト券で行政処分と並びました。2007年は出国者数が減少し、振り返れば暗いニュースが思い出されますが、ランキングでは全般的に明るい話題が上位に来ており、この雰囲気で心機一転、新年を迎えていきたい、と思っています。

 今年1年のアクセス・ランキングの上位100位を見ると、この数年のテロ、SARSなどとは質的に異なる話題が顔を出しているように思います。例えば、第29位の「日本航空の次課長級社員を対象に早期退職者募集」は経営改善、第15位の「全日空ロサンゼルス支店にFBIが立ち入り捜索」、第33位の「日本旅行のサービス残業を追加払い」、第99位の「添乗員の労働問題、『大きな変革を迫られる年』−TCSA総会で」などは司法、労基署など行政機関がこれまでのやり方にメスをいれ、改善を迫るもの、第17位の「奥山JATA事務局長、「日本の旅行会社離れが起きている」−危機感を表明」、第100位の「韓国ランドオペレーター、日本の旅行会社に支払い早期化依頼へ」は環境変化への対応を求められているものでしょう。

 これまで業界の慣行として行われていたことを改める、という意味では「あるべき姿」へ加速度的に進んだ年であるのではないでしょうか。ただ、業界の皆様とお話しすると、「まだまだ」という声を多くいただきます。実際のところ、外部の変化、環境の変化に合わせることも必要ですが、自らの主体的な判断で取り組みを進めたい。こうした改革、改善は、引き続き来年も愚直に進んでいくことを期待したい。特に、観光庁が来秋にも設置され、業界にとって良い動きにも呼応して、質の高いサービスを提供できる産業へ進化(深化)したいですね。

 来年以降に向けて、今年気になった動きは、SAME DAY VOIDへの移行、コミッションカットの影響など。第41位の「航空座席流通、ブロックやゼロコミッションなど変化は不可避」などでも伝えておりますが、 2年から3年後の将来像を来年はしっかりと見据えなければなりません。先ごろ、ある大手旅行会社の社長にインタビューをした際、「コミッションカットの行き着く先は見えていない」とおこたえをいただきましたが、読めない部分は多分に残されています。ただ、2年から3年後に現実に起こりうるということを考えなければ、来年1年間の成果も将来的に半減するのではないかと思います。2010年に予定される、成田空港の滑走路延長による発着枠の増加、羽田空港の国際化など、首都圏発の国際線の増加に際して、ビジネス拡大のチャンスとするには、今年は経営基盤の磐石さを確保する必要があるのでしょう。

 こうした機会は、店頭の旅行商品販売にも影響をもたらすことでしょう。例えば、IIT運賃からペックスへの流れでは(第49位、「大韓航空、下期からエアオンIITを廃止」)、座席指定がいわゆるパッケージ商品でも一般化していく。そうすると、旅行会社は代理販売から必然的に変わらなければならず、企画部門だけでなく、店頭でも企画能力に近い高いスキルが要素として求められるでしょう。インターネットで購入できる座席関連の情報だけでなく、さらなる情報を付加価値として提供できる店舗、スタッフが求められます。

 その意味では、トラベルビジョンで応援をするデスティネーション・スペシャリストの活躍の場が広がることでもあります。これまで登場をしていただいた方々のように、デスティネーションへの知識や思い入れが大きいことが、最も大きな付加価値であり、それがお客様をひきつける決め手になる、と断言できる時代になっていくと思います。年末のエイチ・アイ・エスの決算発表でも「採算性などによって店舗の閉鎖もあり得る。ネット販売と店頭販売を両輪としていく」という鈴木社長の言葉を伝えていますが、ネットも店舗も対等な販売ツールとなった時代に、それぞれが、独自のよさを追求しなければ、ネット、店舗ともに顧客と高い信頼関係を結ぶことができないことになるでしょう。その観点から、来年は店舗での改革が大いに見られる年ではないかと予想しています。

 今年も一年間、ご愛読ありがとうございました。来年も迅速、正確、業界の動向を網羅的にお伝えしていきたいと考えております。引き続きのご愛顧をどうぞ、よろしくお願い申しあげます。(鈴木)


▽トラベルビジョン2007年 年間記事アクセスランキング

第1位
日加観光交流年で浅田舞・真央選手が親善大使に−トロントでも記念式典(2007.4.3)
第2位
ミシュランガイド東京でインバウンドに「期待」−星付き店は世界最多に(2007.11.20)
第3位
NTB、NOVAグループから離脱へ、数日内に株式譲渡先が決定(2007.10.26)
第4位
シンガポール航空、A380の「シンガポール航空スイート」を公開(2007.10.16)
第5位
日本旅行、旅行ギフト券で行政処分−上場延期の判断にも影響か(2007.3.5)
第6位
全日空、米の航空業界誌で「エアライン・オブ・ザ・イヤー2007」を受賞(2007.2.3)
第7位
ユナイテッド航空、関西/ホノルル線を10月から運休へ(2007.4.9)
第8位
入国管理局、成田空港に自動化ゲート設置し、正式運用開始へ(2007.10.31)
第9位
NTB、新規予約業務を一時中止、西日本中心に統合−東京は閉鎖へ(2007.11.8)
第10位
羽田/虹橋間チャーター、日本航空、全日空と中国東方、上海航空が就航へ(2007.7.17)
第11位
JTB、4月の総取扱額は6%増、海旅は10%増、企画旅行は人数減も取扱額増(2007.6.13)
第12位
SAME DAY VOID、JATAが配布用書面を用意へ−消費者への説明用に(2007.5.23)
第13位
KNT再編(1)−コンセプトは「挑戦」「自信」と「自立」、伊藤常務(2007.9.7)
第14位
日本航空、国際線全クラスで08年に新シート導入、07年はプレミアムYクラス(2007.1.18)
第15位
全日空ロサンゼルス支店にFBIが立ち入り捜索−予約センターが一時閉鎖(2007.3.19)
第16位
アンコールエアー、日本/シェムリアップ間で年間250便から335便を目指す(2007.7.12)
第17位
奥山JATA事務局長、「日本の旅行会社離れが起きている」−危機感を表明(2007.10.11)
第18位
マカオ航空、10月に週3便の後は来夏にデイリー化へ意欲−羽田も視野(2007.8.7)
第19位
マンダリン・バンコク火災に遭遇した日本人は200人前後に、入院治療は4名(2007.9.6)
第20位
「自虐系キャラ」で観光誘致−夕張リゾートとビーコン・コミュニケーションズ(2007.9.10)
第21位
KNT、地域別カンパニー制から6事業制に再編−店頭販売会社設立へ(2007.8.30)
第22位
KNT、店頭販売専門会社名は「KNTツーリスト」に、2008年1月1日始動(2007.10.3)
第23位
日本旅行の決め手は「同じ目線に立った提案」−シャルレ三屋社長(2007.3.1)
第24位
エアバス、A380が成田に再飛来、就航準備が着々と進捗(2007.5.23)
第25位
ノースウエスト航空、成田経由ベトナム就航を表明−VNは関空経由LAX線を(2007.11.19)
第26位
日本旅行、全社体制で5000名規模の旅行を運営(2007.3.1)
第27位
名古屋のロータリー旅行が営業停止−酷似名の他社の営業停止が追い打ちに(2007.10.11)
第28位
JATA、TV番組「行列ができる法律相談所」に訂正要請−理由は視聴者を惑わす(2007.8.2)
第29位
日本航空、次課長級社員を対象に早期退職者募集へ−人件費圧縮などで(2007.8.27)
第30位
ジェットスター、自社ブランド展開で旅行会社設立、ダイナミックPKG展開へ(2007.3.27)
第31位
日本航空、特別早期退職者の募集に250名が応募(2007.4.18)
第32位
エアバス、A380型機は07年内に1号機を引き渡し−日系も「強い関心」(2007.6.6)
第33位
日旅、サービス残業を追加払い3億超に、労基署の勧告と指導受け(2007.4.11)
第34位
シンガポール航空のA380型機、初の商業フライトがチャンギ空港を出発(2007.10.25)
第35位
ベトナム航空、12月15日から名古屋/ホーチーミン線を運休へ(2007.10.29)
第36位
ホールセール6社、BtoBtoCの新システム「シンプラス」を提供へ(2007.8.28)
第37位
ノースウエスト航空、成田第1旅客ターミナル第1ウイングに新ラウンジを開設(2007.4.24)
第38位
日本航空、EGを統合へ−日・台の民間航空協議で航空企業の変更が合意(2007.11.2)
第39位
阪神航空、初催行のエクアドルで列車事故−男女2名死亡(17日14時)(2007.2.17)
第40位
シンガポール航空、A380の初便は10月25日、便名は「SQ380」(2007.8.22)
第41位
航空座席流通、ブロックやゼロコミッションなど変化は不可避−JATA国際会議(2007.9.18)
第42位
日本航空・JALインター、役員体制を決定−法人センター長に山口栄一氏(2007.2.22)
第43位
トラベルステーションと子会社、申込実数把握しきれず、債権者リスト提出なし(2007.8.15)
第44位
法律豆知識(125)、航空券手配に関する最近のトラブル〜二重予約の対応(2007.5.10)
第45位
エクスペディア、日本での伸張に自信示す、旅行動向にも「大きな変化」(2007.1.5)
第46位
JTB役員人事がまとまる−JTBワールドバケーション伊藤社長がJTB常務に(2007.5.28)
第47位
地球の歩き方調査、2007年版のエアラインランキングでVSが1位に(2007.2.20)
第48位
日旅、行政処分で経理部長を更迭、金井社長は3ヶ月30%の減俸に(2007.3.8)
第49位
大韓航空、下期からエアオンIITを廃止−パスカルの利便性向上で(2007.9.27)
第50位
JALグループ、1月から燃油サーチャージ額値上げ−需要への影響に懸念(2007.11.19)
第51位
コンチネンタル航空、中部/ホノルル線を08年4月から運休−グアムは継続(2007.11.13)
第52位
日本航空とジェットスター、コードシェア提携に合意−JL予約は飲み物付き(2007.2.26)
第53位
JATA、航空会社の運賃・燃油サーチャージの対応に落胆(2007.2.22)
第54位
JLとJTB提携施策、日本各地からチャーター便展開−JTB単独用機者で欧州へ(2007.2.26)
第55位
旅行各社で入社式、市場変化も顧客に立脚した仕事を呼びかけ(2007.4.3)
第56位
全日空、27日欠航や遅延便の影響は6万9300人−日本航空が臨時便運航も(2007.5.28)
第57位
エミレーツ航空、日本人含む客室乗務員を積極採用−機材拡大計画に合わせ(2007.6.8)
第58位
クラブツーリズム、カフェ出店加速で3年後に首都圏10店舗−18日に練馬店(2007.5.14)
第59位
エーデルワイス航空、新千歳に就航−来年は倍の運航を計画(2007.7.17)
第60位
日本航空、今年度チャーター便800本、増収達成か−今後は企画型チャーターへ(2007.11.9)
第61位
エア・インディア、冬季スケジュールから成田/インド間をノンストップに(2007.8.7)
第62位
HIS、NOVA支援の報道を否定−「あくまで憶測」(2007.7.3)
第63位
全日空、B787に日系で初めて「エレクトロニック・フライト・バッグ」導入(2007.5.10)
第64位
JALグループ、7月から3ヶ月間の燃油サーチャージを固定化−わかりやすさで(2007.5.16)
第65位
旅行業の上半期倒産件数、上昇に転じる−小口倒産が多く発生(2007.10.15)
第66位
KNTツーリストの新社長に伊藤淑雄氏が内定(2007.10.24)
第67位
ルックJTB、07年は「スーパーパッケージ」、伊藤社長「全市場に正対できる」(2007.1.18)
第68位
エクスペディア調査、「日本人は世界最良の旅行客」−10項目中4項目で1位(2007.5.29)
第69位
KNT、神戸の須磨学園「世界一周修学旅行」を手配−規模としては過去最大(2007.11.14)
第70位
冬スケジュール、中部は開港以来初の減少、関空は旅客便、全体とも過去最高(2007.10.25)
第71位
全日空、燃油サーチャージ「わかりにくい」指摘多く−航空運賃値上げで吸収(2007.12.17)
第72位
全日空、成田/ムンバイのビジネスジェットは「安らぎ」を最重視(2007.8.31)
第73位
トップインタビュー:JTB中国董事長・総経理の吉村久夫氏(2007.8.8)
第74位
カンタス航空、新千歳/ケアンズ線の季節便中止を決定−JQへの移管も無く(2007.7.5)
第75位
日本航空、「ワンワールド・デザイン機」をセントレアにも就航(2007.4.23)
第76位
日本航空西松社長、「退路を断って取り組む」−収益力の向上へ(2007.2.7)
第77位
シンガポール航空、A380の日本就航は早くて来夏前か−1号機は10月予定(2007.5.16)
第78位
JALグループ、ワンワールド加盟日は4月1日、記念キャンペーンを実施(2007.2.2)
第79位
日本航空、08年度に国内線ファーストクラスを導入へ(2007.1.9)
第80位
JTB、連結決算の売上高、経常利益で過去最高−今期はシステム等の投資で減益予想(2007.5.28)
第81位
エールフランス航空、成田ラウンジをリニューアル、世界初のデザイン採用(2007.7.11)
第82位
香港ドラゴン航空、福岡/香港線と仙台/香港線に就航へ(2007.8.8)
第83位
スリランカ航空、離発着制限を受け日本路線の運航路線とスケジュール変更へ(2007.5.8)
第84位
JTB首都圏、顧客情報紛失、クレジットカード利用票など(2007.3.2)
第85位
旅行業界の新卒採用、求人倍率は高水準か−離職率は平均12%(2007.12.7)
第86位
リッツ東京、本日オープン、初日満室で好調の出だし(2007.3.30)
第87位
日本航空、5月22日からダイナミックパッケージの販売開始−年間5万人目標(2007.5.18)
第88位
JALグ、新小型機でエンブラエル170を導入決定(2007.2.23)
第89位
eチケ100%化延期、旅行各社は冷静−課題のインターラインは今後2300件締結へ(2007.6.7
第90位
日本の旅行業界の商習慣、グローバル化に対応を−対等関係が原則(2007.9.18)
第91位
JTB、普通運賃利用の1泊2日のツアーを中国行きで設定(2007.1.23)
第92位
エアバス380が関空に初飛来、GP7200エンジン搭載型では日本初(2007.9.26)
第93位
富裕層の旅行会社選択の決め手は「ブランド・信頼性」、準富裕層は「利便性」に(2007.10.1)
第94位
ノースウエスト航空、5月末に破産法11条から脱却へ−20ヶ月で再生(2007.5.21)
第95位
HIS、ハワイ団体旅行で613名分の参加者名簿を紛失−管理を再度徹底へ(2007.10.18)
第96位
トップインタビュー:アクセス国際ネットワーク代表取締役社長松原善朗氏(2007.7.11)
第97位
KNT、富裕層獲得狙い銀座に新店舗、新ブランド立ち上げ08年20億目標(2007.4.26)
第98位
トップインタビュー:エヌオーイー代表取締役社長林田建夫氏(2007.7.4)
第99位
添乗員の労働問題、「大きな変革を迫られる年」−TCSA総会で(2007.3.23)
第100位
JALグ、下期路線計画で高収益志向を推進−チャーターはシェムリアップなど(2007.8.8)
第100位
韓国ランドオペレーター、日本の旅行会社に支払い早期化依頼へ−JTBが対応(2007.9.25)