HIS、売上高が過去最高も減益に−「転換期」として店舗閉鎖なども視野

HIS代表取締役社長の鈴木芳夫氏はこの実績に、「真摯に受け止めなければならない結果」と表現。要因として、「市場の動向に流されないように努力してきたが、今期は燃油サーチャージなど厳しい市場環境での競争激化に巻き込まれた」と語る。来期は「あくまでも2ケタ成長をめざす。取扱額の増加と収益増を両立できるようにしたい」と意気込む。平成20年10月期の中間期では、売上高10.9%増の1870億円、営業利益12.2%増の33億円、経常利益13.5%増の38億円、純利益13.3%増の23億円とし、通期では、売上高13.2%増の4100億円、営業利益27.3%増の81億円、経常利益21.2%増の91億円、純利益19.4%増の54億円をめざす。
その方策について、「過去のやり方は通用しない。いつまでも集客が右肩上がりというのは無理がある」として、「採算性などによって店舗の閉鎖もあり得る。ネット販売と店頭販売を両輪としていく」との考えを示した。特に「募集型企画旅行を多数、取り扱うようになり、一番の強みであったFITの手配力が低下してきたことを危惧している。対面販売をさらに強化したい」とする一方、法人・団体営業も強化する方針だ。また、増加した広告宣伝費については、「夏時点でマーケットの冷え込みに対し、攻めの広告展開」をしたところ、それに見合う収益の増加を得られず「失敗した」と言明。ただ、来期も「広告の方針は、基本的にはぶれない」とし、「売り上げに効果の出る方法を工夫する」と語った。
なお、方面別の動向は、取扱人数ベースで北米が7.4%減、ヨーロッパが1.4%減となっており、この2方面を特に回復したい考え。逆に好調であったのは中国などアジア圏で、中国はビジネス需要の航空券販売が中心であったため、報道による風評被害はなかったという。詳細は下記を参照のこと。
▽HIS、平成19年度10月期訪問別販売状況
(売上高ベース:方面/今事業年度/前事業年度/増減率)
北米/402億4400万円/389億1400万円/3.4%増
ヨーロッパ/559億700万円/536億300万円/4.3%増
アジア/1212億3800万円/1061億5100万円/14.2%増
オセアニア/157億5900万円/141億7000万円/11.2%増
ハワイ、グアム、サイパン/539億1800万円/485億4700万円/11.1%増
その他/122億300万円/108億4400万円/12.5%増
合計/2992億7200万円/2722億3100万円/9.9%増
▽HIS、平成19年度10月期訪問別販売状況
(取扱人数ベース:方面/今事業年度/前事業年度/増減率)
北米/23万5611人/25万4486人/7.4%減
ヨーロッパ/25万7532人/26万1548人/1.5%減
アジア/139万7357人/129万2037人/8.2%増
オセアニア/9万3136人/9万2332人/0.9%増
ハワイ、グアム、サイパン/41万8042人/41万3975人/1.0%増
その他/5万3042人/4万6875人/13.2%増
合計/245万4720人/236万1253人/4.0%増