大韓航空、日中韓旅行促進で陸上交通と提携さぐる−航空自由化で新路線も視野

  • 2007年12月13日
 大韓航空(KE)本社の旅客事業本部、旅客路線営業部日本路線チーム長の権炳燦(クォン・ビョンチャン)氏は今後の日中韓3ヶ国の自由化に向け、韓国の航空会社として陸路の交通機関との提携が欠かせないとの考えを示した。既に日本では東日本旅客鉄道(JR東日本)が日本航空(JL)、全日空(NH)とマイレージなど幅広く提携を開始している。こうした状況を受け、旅行者が便利に移動するための手段を整備する必要があるというもの。羽田/虹橋間のチャーター便の運航開始から1 ヵ月後には金浦/虹橋間の定期チャーター便の運航を開始しており、3ヶ国間の主要都市の中心部に隣接する空港が結ばれている。冬柴国交相が羽田/北京線の時限的なチャーター便の運航を提案したが、権氏は航空と陸上の交通機関の提携で、日中韓の旅行形態が5年程度で変化していくのではないかという見通しを示した。

 ただし、現状では韓国の国内線で鉄道KTX(Korean Train eXpress)と競争が激化しており、近々に提携するというわけではないものの、「JRと航空会社は旅客面では激しい競争をしている。その一方で、旅客の面からは航空も鉄道も使い、マイレージが貯まれば旅行需要につながる」として、日本での実例にならい、提携の形を模索し、かつ日中韓の3ヶ国で提携する形を描いていく。これにより、日本の旅客にも国内旅行の感覚で旅行できるようにし、韓国、中国の域内交流の活性化に貢献したいという考えだ。なお、国土交通省ではこうした移動手段に関して、「IC乗車券等国際相互利用促進方策検討委員会」を開催し、利便性、実現性などの研究を進めているが、韓国の企業でもこうした動きを意識した取り組みが進んでいきそう。


▽日韓の航空自由化による路線政策

 日韓の航空自由化については、2009年3月に開港を予定している静岡空港には、「開港と同時にデイリー運航をしたい」と意欲的だ。特に、韓国発の需要で東京、名古屋を組み合わせ、観光地としての富士山を組み合わせた商品が期待できるほか、日本発の需要にも東京と名古屋の間で需要が期待できるとしており、今後は韓国、日本の旅行会社を対象にFAM ツアーを実施し、商品造成の検討を促していく。

 また、KEがこれまで就航していない路線で乗り入れの可能性を探る路線として、仙台、沖縄をあげ、「チャーター便の運航、季節便など需要を探り、競争できる環境であるかを見極めていく」として積極策を打ち出す。その一方、撤退の可能性も収益性の面から、検討される路線があるが、これについては「これまでの自治体との関係や、就航地の人たちにお世話になってきた。全く辞めるというよりは、季節便、チャーター便などで完全に路線を廃止することはない」とし、日本地域本部長の権氏と同様の考えを示している。


▽ネットワーク拡大で仁川をハブに日中韓の需要を着実に摘み取り

 日本発の乗継需要については、今年度にはウィーン線、マドリッド線、メルボルン線をそれぞれ週3便、チェンマイ線は週 4便で新たに就航しており、来年度にはミュンヘン線、ロサンゼルス経由のサンパウロ線への新規就航を予定。韓国発のアウトバウンドが好調なことも、路線拡大を後押ししているが、こうしたデスティネーションの拡大を日本発の乗継需要の拡大につなげたい考え。

 中国路線でも拡大を続けているが、北京オリンピック開催後に中国発の旅行需要が爆発的に伸びると予想しており、日中韓の3ヶ国の往来だけでなく、海外旅行全般が増加すると予想しており、「中国人の旅行自由化になった場合の対応に備えたい」と中国市場にも意欲的だ。特に、中国からアメリカへのビザに関しては規制緩和が発表されており、韓国発の需要も含め、中国、インド、ロシア、そして就航を決めているサンパウロとBRICs については「需要が多くなってから対応する後追いではなく、需要の増加を先取りしながら対応し、こうした地域の開発に対応をしていきたい」としている。


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