大韓航空、権本部長が日中韓航空自由化に提案−地方路線は需給バランス確保へ

  • 2007年12月11日
 大韓航空(KE)日本地域本部長の権五常氏は、来年の日本市場での取り組みについて、地方路線を活用したソウルでの乗継需要の活性化、日韓路線の航空自由化を踏まえた乗り入れ都市の合理化、上質なサービスの提供の3点をあげた。特に、地方路線と航空自由化は大きな課題で、日本/韓国間の両国の相互交流人口は韓国発が260万人、日本発が225万人の予測と日韓の発需要が初めて逆転する中で、活性化が特に期待される分野となる。旅行業界でも、地方発の需要喚起をめざした動きとして、定期便の活用やチャーター便の利用など成田、関空、名古屋の主要空港以外を利用する海外旅行需要の喚起が計画されているが、こうした動きにも呼応する考えだ。

 日韓の航空自由化が今夏、日本、韓国両国の航空交渉で合意しており、首都圏を除き、日韓相互に乗り入れ地点、便数制限を撤廃、以遠権でも韓国側企業の首都圏を除く日本国内の空港から北米路線への就航は週7便まで可能だ。以遠権では関西国際空港がアジアの航空会社に北米路線の就航を積極的に働きかけており、ベトナム航空(VN)の就航が期待されているほか、KEなどにも期待が高いが、権氏は「検討段階にある」として明言は避けた。ただし、米国への入国では韓国がビザ・ウェーバー対象国となり、入国が容易になるが、こうしたタイミング、収益性について見定めている模様だ。

 同様に、地方路線での就航の自由を得たことは首都圏が限定的であるものの、今後の日本の海外旅行市場の動きにも少なからず影響を与えるところ。日本路線で14路線があるが、今後は競合他社が就航する都市への就航、採算性の観点から運航頻度などを自由に設定する動きとなりそう。具体的に、秋田路線は採算性が低いことから、撤退のうわさもされているところだが、権氏は「効率的な運航という意味では、運航便数、頻度の増減や季節に合わせた運航計画を行う必要がある」としており、完全撤退というよりは、需給のバランスを確保する動きになりそうだ。

 さらに、自由化という側面からは、羽田/金浦線に加え、羽田/虹橋線、金浦/虹橋線が今年度に路線を開設し、日中韓3ヶ国の主要都市で中心部に近接する空港を結ぶ路線が開設されたところ。KEはこのうち羽田/金浦線、金浦/虹橋線を運航しているが、「象徴的にも、KEの羽田/虹橋線の運航をはじめ、各社が3空港を利用した自由な路線設定をしても良いのでは」とも提案。特に、欧州などで進む航空路線の自由化を意識しながら、「北アジア型の航空自由化があっても良い」などと考えを示し、今後のさらなる自由かに期待を示した。