ランキング、1・2位はJTBの買収と決算、3位に航空自由化、4位はサーチャージ

  • 2007年12月8日
[総評] JTBの欧州での大きな動きが、今週の最も注目の高い記事となりました。JTBの佐々木社長が11月末に欧州での新たな展開を明らかにしておりましたが(→該当記事参照)、具体的な形として見えてきたのがツムラーレの買収でした。同社は日本から北欧への旅客で高いシェアを誇っており、JTBではツムラーレの日本での営業は現状どおりとし、他のオペレーターと同様に各社との取引を継続する方針。アールアンドシーツアーズを傘下とした時と同様にグループに加わることでの純増、というメリットを強調しています。これに関して、私見ですが、業界では伸び悩む日本市場の海外旅行需要を高めようと取り組みが強まる中で、JTBはもっと先を見ているのでは、と思います。様々な業種でグローバル化、具体的には製造業に代表されるように海外での生産拠点を増加させ、日本だけでなく世界を視野にした動きをとっており、そうした動きに呼応しているように見えます。佐々木社長はさっそく、JTBグループ内の説明のために欧州へ出張をしたそうですが、その際の会議では英語で話し合いがされたとのこと。こんなところにも、グローバル企業への脱皮を目指す姿が垣間見えます。佐々木社長は冗談交じりに、「日本のJTBも全て英語でやり取りするかもしれない」と話しておられましたが、本当にそんな時代がやってくるかも知れません。

 2位にJTBの中間決算が入り、3位は日本/タイの航空交渉で、原則自由化の方向でまとまったという記事がランクインしました。アジア・ゲートウェイ構想のもと、今後もアジアの国との自由化が進みはじめると、LCCの参入がどんどんと現実味を帯びてくることでしょう。これは世界で起きていることが日本で起こることを意味しており、日本の旅行業界が世界の動向にさらに敏感になるのではないでしょうか。

 話題性としては、燃油サーチャージ額の徴収があげられます。多くの人が、日本航空(JL)と全日空(NH)の対応が割れたことがきっかけとなり、変化を期待する向きは多いようです。一方、航空会社からは、燃油サーチャージ額を徴収しても補填しきれない、という声も聞きます。補填分は燃油代の3分の1から半分などさまざまな話を聞きますが、経営情報として開示できないという点は理解できるものの、それならばサーチャージ額がどのように決められているか、努力とはどのようなことかを消費者に教えていただきたいものです。燃費の良い機材の導入とその導入コスト、あるいは総重量の軽減の努力、そして最も重要なのは、サーチャージ額は距離で決めるのか否かが最もポイントではないでしょうか。日本旅行業協会(JATA)の会合で沖縄の方が消費者の指摘した「燃油サーチャージ額を払う同額で久米島にいける」ということは、那覇からそれほど距離の差の無い台北と久米島がなぜ、これだけサーチャージ額が異なるのか。旅行業界の納得というより、消費者の理解の促すことになり、結果的に旅行業界と航空業界の仕事のしやすい関係につながるでしょう。(鈴木)


▽トラベルビジョン・記事ランキング(12月第2週:12月3日〜12月7日午後6時)
第1位
JTB、ツムラーレ買収で欧州域内での規模拡大−5年で倍をめどに展開(12/4)
JTB、北欧のランドオペレーター「ツムラーレ」を買収へ−欧州事業の機軸に(12/3)(→1位ではありませんが、同一項目にしました)

第2位
JTB、売上高4.7%増、経常は2割減も過去2番目−人員増など積極策を展開(12/3)

第3位
日本/タイ航空交渉、自由化に合意−韓国に続き2ヶ国目(12/3)

第4位
JATA、サーチャージ額検討でクルーズ総額表示の方針が航空にも影響か(12/6)

第5位
旅行業界の新卒採用、求人倍率は高水準か−離職率は平均12%(12/7)

第6位
KNT、20代の女性の旅行応援サイト開設、入社2年の女性社員が運営(12/3)

第7位
中国国際航空、スターA加盟は12月12日−サイト上でキャンペーン開始(12/4)

第8位
ビジネストラベラー:これからの旅行会社、航空会社は予約・手配以上のサービスが重要(12/5)

第9位
HIS、年末年始は定番以外の行き先好調−日並びよくロングホールも堅調(12/4)

第10位
スペシャリスト・インタビュー株式会社日本旅行新宿支店半村憲子さん(12/4)