国土交通省は経済産業省と共催で06年12月から、外国人富裕層をターゲットに誘致するビジネスモデルの構築を目指した「ラグジュアリー・トラベルマーケット調査事業」を開始した。全世界には資産100万ドル以上の人口が870万人いるといわれ、欧米を中心に富裕層を顧客とする旅行会社社、サービス組織が存在するが、日本には外国人富裕層を誘致する体制が整備されていないとして、その誘致拡大が課題となっている。そこで、同調査事業ではヒアリングやアンケート調査を実施し、プロモーション方法と受け入れ体制のあり方を取りまとめた。

　海外でのヒアリング調査によると、プロモーションについては「日本で何ができるかまったく情報がない」「文化の歴史と文化的背景のストーリーをアピールするべきだ」「言葉が通じなくても本物の豊かな体験を求めている」など、日本側からの情報発信や「本物」を伝えようとするプロモーション概念の欠如、ニーズに合致したコンテンツの見せ方が、課題として浮き彫りになった。また、受け入れ体制については「個人的なつながりが必要だが、誰も知らない」「コンシェルジェ的な人が必要」と、海外と日本を結びつけ、案内するための仕組み作りが求められた。

　これらを踏まえ、同調査事業では今後、ラグジュアリー・トラベルマートへの出展や開催を通じた情報発信と、本物をキーワードにしたプロモーション体制の構築が必要と提案。同時に、海外バイヤーとコンテンツとの結びつきや、それに伴う人材育成体制の確立といった、コンシェルジュやコーディネーターのネットワーク化がビジネスを活性化すると提案した。