関空・村山社長、旅客は「西日本のゲートウェイ」−ターミナルなど7段階で需要にあわせ整備

  • 2007年7月4日
 関西国際空港代表取締役社長の村山敦氏は8月2日の第2滑走路の供用開始を前に、今後の関空の方向性などを明らかにした。関空は2本目の滑走路の供用で、「24時間フルオープンの空港になり、日本で同様の空港は今後10年くらい現れないだろう」とし、「関空が世界標準を満たす施設を備えた」と語った。特に、貨物には力点を置いていく方針で既に「日本の表玄関」だが、旅客については「西日本のゲートウェイ」として香港やドバイなどとは異なり、「アジアと西日本を結ぶ空港」としていきたいという。

 関空は2004年に国土交通相と財務相が合意し、需要として12万9000回の発着回数を建設の条件としていたが、これについて村山社長は「現実ターゲットとして取り組んでおり、実際に可能だ」と自信をのぞかせる。ただし、課題は北米をはじめとした長距離路線について。特に北米路線はサンフランシスコとデトロイトの1日2便に留まっており、課題としては認識しているという。また、逆風の要素としては、オーストラリア線では日本航空やカンタス航空が撤退し、その代わりにLCCのジェットスターが参入するなど、「長距離路線は厳しいところ。ただし、需要がないわけではない」としており、今後の動向にも期待を示した。

 また、首都圏の需要を補完する機能も担い、「羽田/関空/海外」の展開は続けていく。特に、羽田空港から海外へという流れは関東圏では強いものの、「羽田空港は地方の人が東京に行くときに使うもので、政治、経済が東京に集中している中、東京圏の人が海外に行くためだけにある空港ではない」(村山社長)として、今後も関空が首都圏需要の補完機能を担う意欲を見せた。


▽二期計画で旅客ターミナルなど段階的に整備へ

 関西国際空港では有識者を交え、関西国際空港二期計画委員会で今後の整備計画を取りまとめた。これは、関空2期滑走路が当初の予定から予算縮小、需要予測などの見直しを迫られていることから、現在の動向などを踏まえて整備を見直していくもの。国際航空旅客数は供用開始10年後の予測として2017年には伸び率4%程度で1700万人から2000万人の利用者数を見込むもの。

 旅客では、中国などを念頭にした旅客数の増加である観光ビッグバンに応える関西のゲートウェイ、内際乗継ぎが良く首都圏需要の補完、ビジネスジェットやリージョナルジェット、LCCなどニーズの多様化に対応する空港を目指す。

 こうした観点から、第2ターミナルは1期島と2期島の間になる水路に浮遊する形を検討、ウイングも段階的に整備していくことから、旅客需要に対応した段階的なウイングの計上を採用する。旅客施設は需要に応じて、7段階に整備期限を区切り、整備を進めていくという。