JTB、送客力と仕入力の維持・強化をめざしアジアでのM&Aも視野−グローバル化に対応

  • 2007年5月28日
 ジェイティービーは次期中期経営計画において、グローバル化する世界の旅行マーケットを見据えた戦略を明確に示していくという。19年3月期決算報告の席上、志賀常務が方向性について言及したもの。

 JTBでは今年度以降、M&Aなど積極的に行う方針だが、その狙いは「仕入力の維持、強化」だ。このところ、世界各地の旅行市場が活発化する中で、特に欧米のホテル関係者からは中国の仕入れ担当者が現金で購入する一方、日本の仕入れに対する不満の声は大きい。さらに、中国発の旅行需要の拡大、欧州の格安航空会社(LCC)の興隆による旅行需要の活性化で、ホテルの供給量が不足感もあり、ホテル側も取引条件の良い方へ流れ、「良い条件で取れない」(志賀常務)という。こうした現状を踏まえ、JTBとしては「全体の総脚力を上げていく」ために、日本発の旅行需要に限らず、海外からの日本インバウンド、日本以外の第三国間での旅行需要を獲得していく狙いだ。

 現在、JTBは北欧のオペレーターのツムラーレと合弁会社を運営しているが、今後は「アジアの地域の旅行会社との提携、M&Aもある」という。さきごろ、韓国ロッテグループ企業と合弁企業を設立したが、こうした動きが増えてくると想定される。ロッテとの合弁では2011年度には取扱人員120万人を目標としており、半年だが07年度の2万5000人の計画を通年換算しても20倍超の取扱人員を見込んでおり、こうした成長力の確保が中長期的に不可欠という判断が働いているようだ。

 志賀常務はこのほかに、中国市場にも着目。M&Aの対象企業としては、「旅行に関連する企業」としており、具体的にはバス会社などのインフラ、あるいはネット旅行会社などを想定しており、今後、JTBがアジアで本格的にM&Aをはじめることとなれば、既に巨大化している欧州のTUIなどに並ぶ送客規模を獲得していくことにもなりそうだ。