法律豆知識(114)、航空私法入門(5)−「航空運送約款」
航空私法入門として5回にわたり連載してきたが、今回の運送約款の解説をもって、入門編はひとまず終了する。ただし、航空会社と旅客のトラブルも決して少なくない。読者の方々から反響も得ており、今後はこのコーナーで、適時個別テーマを検討していきたい。
<運送約款>
約款といえば、保険契約を思いだす方も多いだろう。運送約款も保険契約と同様に、航空運送人が契約条件を予め詳細に定め、個々の旅客との間で運送契約を締結する場合、その契約の内容となるものである。
このような契約は「附合契約」と呼ばれ、旅客からみれば約款が自動的に契約の内容に取り込まれることになる。こうした場合、運送約款の内容が妥当であるかが重要な問題となる。多くの国は、この運送約款の内容は監督官庁の監督を受けている。日本では、航空法106条1項により、国土交通大臣の認可を受けなければならないことになっている。
外国の国際航空運送事業者も、日本に乗り入れるにあたり、国土交通大臣の認可を得る必要があり、その際に運送約款を添付することになっている。しかし、その後、変更があっても届け出る必要はない。この点は問題が残るだろう。
<提示義務>
旅客にとっては、自動的に約款の内容が運送契約となるので、事前に、約款そのものが容易に確認できる必要がある。日本の航空法では、日本の定期航空運送事業者は、営業所その他の事業所において、約款を見やすいように掲示しなければならないことになっている(107条)。ただし、不定期航空事業者にはこの義務はなく、外国の国際航空運送事業者にも掲示義務はない。
しかし、幸いにして、日本の航空各社はウェブサイトで約款を公開している。また、日本に乗り入れている航空会社も、ウェブサイトで約款が確認できるものも多いようだ。
<約款の統一性>
ワルソー条約でも、モントリオール条約に於いても、条約に抵触しない範囲内で、各航空運送人は独自の約款を作成できることになっている。しかし、各航空運送人の約款がまちまちでは旅客にとって不便であるし、相次運送の場合はなおさらである。
そこで、国際航空運送協会(IATA)は、標準約款を設けている。その結果、各国の航空運送人の約款は相当程度に統一化されている。また、約款の重要事項は、航空券及び航空運送状(air waybill)に、掲載されることになっている。しかも、この掲載される主要事項は統一文言によることになっている。
<最後に>
このように運送約款は、統一化が図られているとともに、航空券の裏面に主要条項が記載され、約款全体の提示義務もある。しかし、約款の内容自体は膨大かつ詳細で、一般人がその内容を理解するには困難が伴うのも事実である。
約款が契約の内容となるためには、本来、約款の内容を、一般の旅客が容易に理解できる環境が整っていることが前提である。従って、航空会社としては、約款の内容を一般旅客に理解してもらえるよう努力すべき説明義務のあることを忘れないでほしい。これが不十分だと、約款が契約に取り込まれること自体が否定されることもありうるだろう。
<運送約款>
約款といえば、保険契約を思いだす方も多いだろう。運送約款も保険契約と同様に、航空運送人が契約条件を予め詳細に定め、個々の旅客との間で運送契約を締結する場合、その契約の内容となるものである。
このような契約は「附合契約」と呼ばれ、旅客からみれば約款が自動的に契約の内容に取り込まれることになる。こうした場合、運送約款の内容が妥当であるかが重要な問題となる。多くの国は、この運送約款の内容は監督官庁の監督を受けている。日本では、航空法106条1項により、国土交通大臣の認可を受けなければならないことになっている。
外国の国際航空運送事業者も、日本に乗り入れるにあたり、国土交通大臣の認可を得る必要があり、その際に運送約款を添付することになっている。しかし、その後、変更があっても届け出る必要はない。この点は問題が残るだろう。
<提示義務>
旅客にとっては、自動的に約款の内容が運送契約となるので、事前に、約款そのものが容易に確認できる必要がある。日本の航空法では、日本の定期航空運送事業者は、営業所その他の事業所において、約款を見やすいように掲示しなければならないことになっている(107条)。ただし、不定期航空事業者にはこの義務はなく、外国の国際航空運送事業者にも掲示義務はない。
しかし、幸いにして、日本の航空各社はウェブサイトで約款を公開している。また、日本に乗り入れている航空会社も、ウェブサイトで約款が確認できるものも多いようだ。
<約款の統一性>
ワルソー条約でも、モントリオール条約に於いても、条約に抵触しない範囲内で、各航空運送人は独自の約款を作成できることになっている。しかし、各航空運送人の約款がまちまちでは旅客にとって不便であるし、相次運送の場合はなおさらである。
そこで、国際航空運送協会(IATA)は、標準約款を設けている。その結果、各国の航空運送人の約款は相当程度に統一化されている。また、約款の重要事項は、航空券及び航空運送状(air waybill)に、掲載されることになっている。しかも、この掲載される主要事項は統一文言によることになっている。
<最後に>
このように運送約款は、統一化が図られているとともに、航空券の裏面に主要条項が記載され、約款全体の提示義務もある。しかし、約款の内容自体は膨大かつ詳細で、一般人がその内容を理解するには困難が伴うのも事実である。
約款が契約の内容となるためには、本来、約款の内容を、一般の旅客が容易に理解できる環境が整っていることが前提である。従って、航空会社としては、約款の内容を一般旅客に理解してもらえるよう努力すべき説明義務のあることを忘れないでほしい。これが不十分だと、約款が契約に取り込まれること自体が否定されることもありうるだろう。