グローバルスター、東京マスターズと提携、ゼロコミッション対応のBTMへ

  • 2006年12月20日
 世界50ヶ国超でBTMを展開するグローバルスターはこのほど、日本での提携先として東京マスターズを指名した。グローバルスターは日本の提携に先立ち、デンマーク、クウェート、パキスタン、さらに香港のスワイヤと提携し、拡大路線を打ち出している。このうち、東京マスターズとスワイヤは、現在はBCDグループとなったシナジィ・グローバル・トラベル・マネジメント社とBTMのアフィリエイト契約をしていた。

 東京マスターズ代表取締役社長の飛田侑氏によると、グローバルスターはこれまでの提携先であったシナジィ、あるいはアメックス、カールソンなどグローバル企業の競争入札による受注ではなく、各国に基盤を持つグローバルスター提携企業が独自に企業に提案。受注した案件を各国にあるグローバルスター提携企業内でオペレーションを依頼、レポーティング・システムは共有する形で、グローバルBTM企業とはビジネス・モデルが異なる。

 グローバルスターは現在、アジアを中心としてビジネス需要の伸びを視野に入れており、シナジィと提携していた東京マスターズ、香港のスワイヤと契約。この両社間の連携が確立していることが、グローバルスターではスムーズな業務移行が進むとの見方からの提携となった模様。また、東京マスターズではグローバルスターと提携で、「年間1億円程度を初年度の売上として見込んでおり、今後はこれを徐々に拡大していく」(飛田氏)という。


▽コミッション「ゼロ」への対応は「グローカル」:日本国内でアライアンスを

 飛田氏はシナジィからグローバルスターへの切り替えについては、シナジィがBCDに買収されるなど、企業体として変化している最中にあることも要因の一つとして認める。グローバルに展開するBTM企業との提携効果を認めつつも、日本の市場環境ではコミッション・カットが進み、業務渡航、BTMの収益の柱を確立したビジネス・モデルを模索しているよう。

 飛田氏はシナジィとの契約締結後、当初はビジネス発生が少なく、投資も多かったと明かす。ただし、シナジィがグローバル企業と契約成立で売上は大きく伸び、ハンドリング、バックオフィスのシステム統一など「経験も多く積んだ」と効果を認めている。こうしたグローバルに展開するBTMの経験を踏まえ、新たな各国の企業が独自に活動しながら、拠点外に移動する旅行需要はグローバルに連携するビジネス・スキームにおいて、日本市場でのコミッション・カットをはじめ厳しい業界環境に対応する考え。

 また、グローバル企業が航空会社やホテルなどとグローバル・コーポレート契約を直接締結する動きも加速。こうした企業から手配を依頼されても、航空会社やホテルからコミッションは発生せず、手配する料金として「トランスアクションフィー」などの名目で企業側に課金することもシナジィとの提携で蓄積している。また、日本で展開する各BTM企業もこうした「トランスアクションフィー」で対応しているのも事実だ。

 飛田氏は「航空会社のコミッションが7%から5%へと削減されているが、数年をめどに3%、あるいはゼロの時代が来る」との意識から、販売手数料率ゼロの時代を見据え、コミッションから、トランスアクションフィーやハンドリング・フィーなど、消費者側から収益を確保する体制へ移行する準備に入る。こうした背景から、「来年には、(ハンドリング・フィーのビジネスに)同調できる日本国内での同業他社とアライアンスを組み、対応をしていきたい」という。

 特に、業務渡航を主力に取扱う旅行会社には、このところの航空会社のコミッション・カットは収益面での影響が大きい。グローバルにBTMを展開する企業と提携しつつ、日本国内のローカルにも対応、かつ、日本国内においてBTMで企業間が連携することで、より細かなニーズに対応出来る可能性が生まれるだけに、各地域から世界までをカバーする「グローカル」へ対応する旅行業の動きにも注目が集まっていくだろう。