求人情報

JICA、ODAで南米4国メルコスールの観光振興プロジェクトを展開

  • 2004年7月6日
 独立行政法人国際協力機構(JICA)はアルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイの4ヶ国で構成する南米南部共同市場(メルコスール)の日本の政府開発援助(ODA)事業として、観光振興プロジェクトを3ヶ年計画で実施する。このほど来日したウルグアイ東方共和国観光大臣のファン・ペドロ・ボルダベリー氏は「今回のプロジェクトは具体的な観光促進という形で相互の国で進められていることに意義がある。メルコスールは年間約5万人の日本人訪問者から増加し、出来るだけ多くの人に訪れて欲しい」と語る。
 なお、具体的にはメルコスール共同の観光振興局をJICAが公募により委託先を選定し、10月末から11月初頭を目処として東京に開設する。これは一般消費者と業界向けのプロモーション活動を行うほか、日本での市場調査や観光のマスタープランの策定などを手がける。こうした観光局機能の設置に先駆け、9月後半のJATA世界旅行博に「メルコスール」として4ヶ国が共同でブースを出展。これに合わせ、4ヶ国から4名づつ、合計16名のミッションが来日し、10月1日に業界向けのセミナーを行う予定だ。

 今回の様にJICAが3年間の予算としては総額約4億円で、観光振興および複数国への支援を実施することは極めて異例のこと。JICA東京所長の小樋山覚氏は「継続的に行う事業としたいが、現在は3年間の試み。うまく進まない時にはレビューも必要」と言う。また、この事業は業界にとってはアウトバウンドの追い風となると共に、他国、他地域での観光振興にODA投資の期待感も膨らむ。同時に、ビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)事業のインバウンドと合わせ、政府、および関連予算がイン・アウトに実質的な投下となり、盛んに叫ばれる双方向事業としての旅行・観光として金銭的な裏打ちがされたこととなる。
 ただし、ボルダベリー大臣、JICAともに口を揃えるのは「官は民間の力を最大限に発揮できる環境を整える」こと。このため、日本側には「日本メルコスール観光振興促進準備委員会」を設立、各国大使館や旅行会社、エコツーリズム関連機関などの協力により、観光局のサポート機能として民間の後押しを進める。今後はメルコスール側にも日本の準備委員会にあたる民間組織を設立し、双方向の交流についての連携を強化する。