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ANAグループ、連結中間決算で経常利益が138%増、コスト削減効果

  • 2003年10月31日
 全日空(NH)の平成16年3月期の連結中間決算(平成15年4月1日〜平成15年9月30日)は、売上高が2.2%減の6083億4100万円、営業利益が3.1%減の144億6000万円、経常利益は138.0%増の143億1000万円、中間純利益は205億7000万円であった。ANAグループ全体ではSARSの影響を受け、航空輸送事業の国際線、旅行事業の海外旅行で中国およびアジア方面の需要の減少、国際線の予約、発券システムを提供するインフィニ・トラベル・インフォメーションが大幅な減収となるなど、各所に影響を与えた。また、国内線では新幹線との競争が激化する中、エアーニッポン(EL)が東京/能登線の新規開設、ANA Connection(エーエヌエーコネクション)の路線を拡充したことに加え、7月から普通運賃を値上げして値下げ競争に歯止めをかける施策を打った。ただし、グループ全体でのコスト削減が経常利益の改善に大きく寄与した。
 なお、3月期の連結業績予想は売上高1兆2180億円(平成15年3月期連結決算発表時:1兆2450億円)、経常利益140億円(同:150億円)、当期純利益175億円(同:150億円)、単体では売上高9630億円(同:9880億円)、経常利益105億円(同:180億円)、当期純利益65億円(同:50億円)と修正し、4月30日時点の利益を上回る予想とした。


▽航空運送事業
 国際線旅客は3月末から中国路線の増便を図ったものの、イラク戦争やSARSの影響により、関西/北京線、成田/北京線、成田/大連線など中国線の減便をはじめ、アジア路線で減便を実施した。これと共に、成田/ホノルル線を8月から1日2便の運航を行い、需要の高まる時期に合わせ、収益の改善を急いだ。現在のところ、SARSからの回復に関しては北米方面が前年比9割強、ヨーロッパ方面が9割、アジア方面が8割となっており、全体で8割程度の実績に留まっていることから、旅客需要に関してはアジア方面の回復度合いが今後の売上高の改善に重要となってくる。ただし、全日空では「ヨーロッパ方面のビジネスは回復度合いが高いが、旅行需要は弱含み」(広報室)としており、旅行需要の底上げが期待される。

▽旅行事業
 全日空スカイホリデー、全日空ワールド、全日空トラベルの3社が4月1日付けでANAセールス&ツアーズ株式会社に合併し、新たな営業体制を整えた。国内旅行はイラク戦争やSARSの影響から、海外からのシフトを含む沖縄方面の需要が好調に推移し、航空券の発券取扱件数を大きく伸ばした。ただし、海外旅行ではパッケージ商品が31.1%減の132億8500万円と苦しんだ。中間期の旅行事業全体の売上高は1.8%減の840億円にとどめ、営業利益は128.7%増の9億4000万円と合併による効率化、費用の圧縮の効果を発揮した。


▽連結
 売上高:6083億4100万円(2.2%減)
 営業利益:144億6000万円(3.1%減)
 経常利益:143億1000万円(138.0%増)
 中間純利益:205億7000万円(-:前期は81億500万円の赤字)

▽単体
 売上高:4813億4700万円(0.8%増)
 営業利益:89億1000万円(15.0%減)
 経常利益:98億6000万円(216.8%増)
 中間純利益:74億6800万円(26.0%減)

▽主な事業別の販売実績(事業名/売上高/営業利益
・航空運送事業/4981億4100万円(2.7%減)/118億8800万円(3.6%増)
・旅行事業/840億9600万円(1.8%減)/9億4000万円(128.7%増)
・ホテル事業/339億8000万円(12.2%減)/5億4800万円・赤字(-)
・その他/867億7800万円(4.0%増)/17億9700万円(31.5%減)

<航空運送事業>
 国内線旅客収入:3291億6700万円(1.8%減)
 国際線旅客収入:859億8800万円(10.8%減)
<旅行事業>
 国内パッケージ商品:591億4400万円(9.2%増)
 国際パッケージ商品:132億8500万円(31.1%減)

▽ANAグループの輸送実績(※チャーター便除く)
・国内線(NH、EL、エア北海道、エアーニッポンネットワーク)
 旅客数:2286万5759人(3.6%減)
 利用率:61.1%(3.2ポイント減)
・国際線(NH、EL、NQ)
 旅客数:148万697人(20.7%減)
 利用率:65.1%(7.3ポイント減)