8月の訪日客9.6%減、出国日本人も3.6%減 観光庁、九州ふっこう応援割の便乗値上げには「厳正に対処」

熊本地震、九州のキャンセルは前年同期の2倍超

 会見では、令和8年熊本地震や豪雨災害による観光への影響についても質問が相次いだ。観光庁が国内の主要旅行会社などに聞き取りを行ったところ、熊本県では地震発生直後の旅行予約キャンセルが前年同期の5倍以上となり、九州全体でも2倍を超えるキャンセルが発生したという。一方、千葉県や北陸地方の豪雨については、発災当日や翌日に一時的なキャンセルが出たものの、現時点では大きな影響は生じていないとする旅行会社が多かった。

 インバウンドについては、JNTOが重点市場の旅行会社などに聞き取りを実施。熊本県を含むツアー行程の調整が一部市場で見られたものの、SNSや現地メディアでの報道は発災直後に比べ落ち着いており、豪雨災害についても訪日旅行に関連して大きく話題となっている市場はないとして、木村長官は日本全体へのインバウンドへの影響は「現時点では限定的」との認識を示した。

九州ふっこう応援割、便乗値上げなら登録抹消も

 九州の旅行需要回復策として、10月1日宿泊分から「九州ふっこう応援割」が始まる。九州での1泊以上の旅行・宿泊商品が対象で、割引率は原則50%、熊本県と鹿児島県は60%。割引上限は宿泊単体商品・交通付き宿泊商品1泊で1人2万円、2泊以上の交通付き宿泊商品で3万円、2県以上に宿泊する周遊型商品で3万5000円となる。実際の予約開始日や販売方法などは各県が決める。

一部のオンライン予約サイトでは販売開始直後に予定枠が終了したケースも出ている。木村長官は、応援割への関心が高いこと自体は九州の旅行需要の早期回復や新たな需要喚起につながるとして「望ましい」とする一方、今後は宿泊施設の直接販売や旅行会社を通じた販売も順次始まるとして、各県の執行状況を確認した上で施策の効果を検証する考えを示した。

 一方、応援割に合わせた宿泊料金の引き上げについては踏み込んだ姿勢を示した。木村長官は、人件費などを背景とする通常の値上げとの区別は難しいとしつつ、「割引分をあらかじめ上乗せする」ような価格設定は事業趣旨を逸脱し、認められないとの考えを示した。観光庁は各県に対し、不当な価格設定を旅行会社や宿泊事業者に行わせないよう周知するとともに、合理的な範囲を超える高額な価格設定が明らかな場合には国への報告や補助対象事業者の登録抹消を含む厳正な対応を求めている。旅行業界団体を通じても、便乗値上げを行わないよう直接要請しているという。

 観光庁には8月28日の事業発表以降、多い日には1日数十件程度の問い合わせが寄せられており、予約開始時期や割引対象期間、割引率などに関する質問が中心という。過度な来訪が復旧・復興を妨げるとの懸念については、避難者の宿泊状況なども考慮して事業開始を10月1日以降とし、各県が復旧状況に応じて予約開始日や対象期間を設定できる制度としたと説明した。

能登の観光入り込み客、震災前の6割程度

 能登半島の観光復興について木村長官は、和倉温泉では約半数の宿泊施設が営業を再開するなど復旧が進んでいる一方、能登半島地域の観光入り込み客数は震災前の2023年と比べて「6割程度」にとどまるとの認識を示した。観光庁は9月8日から「能登半島地震からの復興に向けた観光再生支援事業」の2次公募を開始している。

 木村長官は、地元の意見を聞きながら、北陸応援割のような旅行需要喚起策を改めて実施することについても検討する考えを示した。

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