JTB、海外旅行「完全復活」へ “グローバル体験”で新たな需要創出

  • 2026年9月8日

スポーツは「観戦」から企業のコミュニケーション施策へ

 スポーツ分野でも、高付加価値化を進める。

 JTBはMLBやロサンゼルス・ドジャースとのパートナーシップを活用し、通常の観戦旅行では提供できない体験を組み込んだプログラムを展開している。MLBオールスターゲームではバッティング練習を間近で見学できるフィールドツアーなどを提供。ドジャース関連では、スタジアムを利用した特別プログラムやフィールドでの体験などを商品化している。

 JTBが目指すのは、チケットを手配して観戦してもらうだけの商品ではない。食事やエンターテインメント、特別な観戦環境などを組み合わせ、顧客や従業員との関係強化に活用する「スポーツホスピタリティ」として企業需要を開拓する。

 フォーラムでは、同社が実施した利用企業への調査として、スポーツホスピタリティの利用目的について72%がステークホルダーとの関係強化を挙げ、92%が何らかの成果があったと評価したとのデータも紹介された。

既存市場を守りながら「着地コンテンツ」で領域拡大

 もっとも、福井氏は法人向けのグローバル体験を、直ちに海外旅行事業の「成長ドライバー」と位置づけているわけではない。

 本誌の取材に対し、海外旅行を再び成長領域にしていきたいとの意向を示しながらも、「既存の領域をないがしろにするつもりは全くない」と強調。航空券や食事など旅行会社としての基本的なサービスは引き続き重要だとした。

 そのうえで、今後新しいビジネスを広げるには、「原体験となる着地コンテンツをしっかり開発することによって領域を拡大していく」ことが必要との考えを示した。

 航空券やホテルの価格比較だけでは差別化が難しくなるなか、「現地で何を体験させられるか」まで設計できることが、旅行会社の新たな競争力になるのか。JTBの取り組みは、日本発海外旅行市場の次の成長モデルを占う一つの試金石となりそうだ。