ジャパン・ツーリズム・アワード、過去最多272件から内閣総理大臣賞に選出されたのは?

 日本観光振興協会、日本旅行業協会(JATA)、日本政府観光局(JNTO)は8月28日、第10回「ジャパン・ツーリズム・アワード」の受賞取組を発表した。過去最多となる272件の応募の中から、新設された内閣総理大臣賞にはnarrativeの「narrative inside」が選ばれた。表彰式は9月24日、東京ビッグサイトで開幕する「ツーリズムEXPOジャパン2026」のオープニングセレモニーに続いて行われる。

 narrative insideは、全国で失われつつある古民家をはじめとする地域資源を個別に再生するのではなく、エリア全体を面的に再生し、持続可能な文化財再生事業として展開する取組。企画、資金調達、開発、運営、マーケティングまでを一体的に担い、補助金などに依存しない民間自走型の事業モデルを構築している点などが評価された。民間資本と地域金融機関の連携を通じ、地域経済の自律的な循環を目指す仕組みについても、他地域への展開が期待されている。

醤油蔵の再興や銭湯の復活、地産地消のオーベルジュの運営まで、多岐にわたる取り組み

 国土交通大臣賞にはAlpen SNOWLAND BIBAI×美唄市の「冬眠するゴルフ場から始まる地域創生」が選出された。冬季閉鎖していたゴルフ場を雪上アクティビティフィールドへ転換し、雪上熱気球やスノーモービルなどを提供。冬季の収益機会の確保に加え、従業員の冬季出向や人材流出といった経営課題にも対応し、施設の通年化による雇用の安定と地域経済の好循環につなげた点が評価された。

 経済産業大臣賞は、倶知安観光協会による「住民優待サービス Kutchan ID+」と町民限定の「Kutchan Magical Experience」。世界的スキーリゾートであるニセコ・倶知安で価格が上昇するなか、観光協会が住民優待の窓口となり、デジタル技術を活用してサービス情報を一元化した。住民への観光の利益還元に加え、閑散期の需要創出や雇用の継続にもつながる地域マネジメントの仕組みとして評価された。

 このほか、観光庁長官賞に3団体、実行委員長賞に1団体、「学生が選ぶジャパン・ツーリズム・アワード」に2団体が選ばれた。また、今回新設されたスタートアップ特別賞はディー・エヌ・エーの「ワンダリア横浜」が受賞。審査委員特別賞には18団体、入賞には30団体が選ばれた。

 今回の受賞取組では、持続可能な観光に加え、遊休施設の通年利用、地域人材の確保、住民への利益還元、文化財の事業化など、観光を地域産業の維持・発展につなげる仕組みが目立つ。主催者も、ツーリズムの力によって地域産業の維持・発展に貢献し、他地域のモデルとなり得る取組が多くみられたとしている。

 なお、同アワードは、持続可能な観光地域づくり、高付加価値化、アウトバウンド拡大、国内交流・関係人口拡大、インバウンドなどの取組を対象とし、革新性、事業性、持続可能な観光への貢献などを審査している。

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