大学生の57%が2027年春までに海外旅行意向 JATA調査、経験率や訪問先に地域差
日本旅行業協会(JATA)が全国10大学の学生1362人を対象に実施した「Z世代の大学生海外旅行意識調査」では、57%が2026年夏から2027年春までに海外旅行に行きたいと回答した。一方、海外旅行経験率や今後の渡航意向には、調査対象校別で大きな差がみられた。海外旅行経験や教育旅行・語学研修への参加状況、発地別の訪問先・予約方法、SNSやAIの利用傾向など、調査から浮かび上がった学生の海外旅行意識と行動を紹介する。
渡航時期を尋ねた設問では、「今年の夏」が358人、「来年の春休みまで」が424人となり、近い時期の海外旅行を具体的に考える学生が半数を超えた。「なるべく早く」「イラン情勢が落ち着いたら」を含めると、何らかの渡航意向を示した学生は約7割に上る。一方、海外旅行経験率は全体で約5割だったが、調査対象校別では13%から71%まで幅があった。
海外旅行経験率と意向、調査対象校別で差
海外旅行経験率が高かったのは早稲田大学の71%、東洋大学の69%、愛知淑徳大学の62%。これに対し、東北学院大学は13%、山形大学は25%、北海学園大学は26%だった。
旅行意向にも同様の差がある。早稲田大学、東洋大学、愛知淑徳大学では82~83%、安田女子大学では93%だった一方、北海道・東北の3大学では43~55%にとどまった。JATA発表では、海外旅行経験、修学旅行・語学研修経験、今後の旅行意向の間に関連が見られると分析している。
訪問先と予約方法に発地別の傾向
調査のもう一つの特徴は、学生の海外旅行先と地域の国際線ネットワークを重ねて分析した点だ。
韓国と台湾は全国の大学から広く訪問されているが、ハワイ、グアム、米国、欧州などの経験は東京の大学で多い。福岡大学では韓国、名桜大学では台湾、愛知淑徳大学や追手門学院大学では韓国への集中が目立った。JATAは、各地域の直行便の就航状況が訪問先に反映されているとみている。学生の訪問先をみるうえでは、発地の国際線ネットワークも考慮すべき要素となる。
予約方法にも地域差がある。東京と沖縄では航空券とホテルを別々のサイトで予約する割合が比較的高いが、地方ではオンラインのパッケージツアーや旅行会社への手配依頼の比率が高い結果となった。
海外修学旅行15%、語学研修19% JATAは支援拡充を要望
調査では、海外旅行経験者656人のうち、海外修学旅行を経験した割合が平均15%、語学研修が平均19%だった。JATAは、海外教育旅行について、安全面や手続き面の不安を低減し、その後の海外旅行意欲につながるきっかけとして有効だとしている。昨年来、学校教育における海外交流プログラム必修化の検討や、海外留学・研修などへの公的支援の拡充を国に要望している。
情報収集はSNS中心、旅行動機は景観や食
情報収集ではSNSの影響力が大きい。旅行先決定後の詳しい情報収集でも、検索エンジンとSNSが中心となり、旅行会社を挙げた回答は136件にとどまった。
ただし、旅行動機では「景色・景観を見たい」が795件で最も多く、「食事がおいしそう」519件、「その国を知りたい」431件と続いた。一方、「写真をSNSに投稿したい」は153件、「SNSで皆が行っている」は60件だった。
旅行計画のAI利用は55%、情報の正確性に不安
旅行計画でAIを「よく利用する」「時々利用する」と答えた学生は計55%。今後についても「積極的に使いたい」「便利なら使いたい」が計75%を占めた。期待する機能は、お薦めスポット、予算に合わせた旅程、モデルコースの作成が上位だった。
一方、AIが提供する旅行情報への不安では「情報の正確性」が1111件と突出した。パッケージツアーの魅力を尋ねた設問では「安心感」が最も多く、セット予約の利便性や価格を上回った。
JATA、「Z世代によるZ世代のための海外旅行企画」を提言
JATAは調査結果を踏まえ、自宅から通学し、アルバイトで旅行費用を捻出しながら海外旅行を楽しむ大学生の市場が全国に存在するとしている。また、情報収集や予約方法、旅行動機には、Z世代に特徴的な傾向がみられると指摘した。
航空会社や旅行会社では、コロナ禍以降に多くのZ世代が入社している。JATAは、こうした若手社員の視点を生かした「Z世代による、Z世代のための海外旅行」を企画・提案する好機だとしている。

