『ガイド』という仕事を再定義する-元外資系ファイナンスが挑む高付加価値旅行 Hirovip脇舛光氏
イギリスからの60代富裕層のお客様と。
脇舛 正直に言うと、ガイドの対価をめぐる構造には課題を感じています。富裕層旅行では、お客様が1日1,000ドル以上を支払っているケースも珍しくありません。しかし、海外・日本双方の旅行会社を経由することでマージンが積み重なり、旅行会社経由で全国通訳案内士として仕事を受ける場合、ガイドの報酬は3万5,000~4万円程度に収まるケースが多いのが実情です。
私が問題だと感じているのは、金額そのものよりも、お客様が期待するサービスレベルと、実際に現場で提供されるガイドの質にギャップが生まれてしまうことです。「これだけ払っているのだから、もっと高いレベルのガイドだと思っていた」と感じさせてしまうリスクがあります。
現場で最も長い時間お客様と接するのはガイドです。だからこそ、その価値がもっと適切に評価される仕組みが必要だと思っています。そのためにも中間流通はできるだけ減らしたいと思う一方で、そうすると「私を知らない人にどう信頼していただくか」という別の課題が出てくるので、そこが今のテーマですね。
脇舛 厳しいことを言うと、今、宮島でも流暢な英語を使うアジア人などが普通に通訳案内士のライセンスなしで厳島神社をガイドしていて、1日5,000円くらいの一番安いグループガイドを担っています。英語はもちろんできるし、教科書レベルの知識はきちんと持っている。でも、そういう安い単価をこなすモデルに流れやすいのが今のこの業界なんです。
私のようにある程度特色のあるバックグラウンドを持っている人は、正直まだ少ないと思います。単に「英語ができるから」「国際交流がしたいから」というだけでこの業界に入ると、どうしても差別化が難しくなってしまう。この業界でしっかりご飯を食べていこうと思うなら、自分の強みが本当に市場から見て強みになるのか、ちゃんと考えたうえで踏み込んだ方がいいと思います。
「ガイド」という言い方自体、もしかしたらもう古いのかもしれません。単なる案内役ではなく、専門性や付加価値を持って、お客様に深い体験を届けられるかどうか。そこをきちんと考えて、この業界に来てほしいなと思っています。
自分の強みをどう磨いて、どうマーケティングしていくか。ビジネスとして持続可能な単価をどう設計していくか。私自身もまだ知見があるわけではなく、経験・体験ベースで模索を続けている段階ですが、もし何か成功例としてこれから目指す方の励みになるのであれば、いくらでもシェアしたいと思っています。

