海外旅行離れ進む、国内志向と“心の平穏”ニーズが鮮明に JTB総研調査
JTB総合研究所が公表した「ライフスタイルと旅行に関する調査2026」によると、旅行者の価値観は「タイパ」から「メンパ」へとシフトし、安心・ストレス回避を重視する傾向が強まっている。特に若年層では、失敗や不確実性を避ける志向が顕著となり、旅行商品や提案手法にも変化が求められる局面にある。
今回の調査では、精神的な負担を避ける「メンタルパフォーマンス(メンパ)」志向が旅行行動にも影響していることが明らかとなった。旅先では「混雑や行列を避けたい」が5割を超え、「予想外の出来事は避けたい」とする回答も上位に入り、不安回避型の行動が広がっている。一方で、トラブルや未知を楽しむ傾向は年齢が高い層ほど強く、世代間で旅行観の違いが鮮明となっている。
旅行需要の構造にも変化が見られる。海外旅行のコア層は全体の8.2%にとどまり、10年前から半減した。コロナ禍を契機に海外渡航習慣が途切れ、国内旅行へシフトした層が増加している。旅行への関心自体は維持されているものの、気軽に参加できる国内旅行への需要が相対的に高まっている状況だ。
旅行に求める価値は、「その土地の食」「リフレッシュ」「家族や友人との時間」が上位を占め、体験重視の傾向が続く。特に女性40代では食や非日常体験への関心が高く、子育て世代では家族との時間や教育的要素も重視されている。若年層では「一人時間」や「話題性」への関心が高いなど、ターゲット別のニーズ分化が進んでいる。
情報収集手段も変化している。依然として家族や友人の口コミが最も参考にされる一方で、「匿名のSNS投稿」や「生成AIの回答」が大きく伸長した。特にAIは前年比で大幅に増加しており、旅行検討プロセスの効率化とともに、情報接点の多様化が進んでいる。
また、消費意識においては「旅行」が最も重視される支出項目となり、物価高の影響で他分野の支出が抑制される中でも堅調に推移している。加えて投資や自己啓発など将来志向の支出意欲も増加しており、旅行においても無駄を避けつつ価値を重視する選別消費が進んでいるとみられる。

